« カラフトマス | トップページ | MFニッコールの終焉 »

2005年9月 3日 (土)

原野の鷲鷹

20050903 北海道の幌延在住の写真家、富士本寿彦氏の写真集です。氏は道北のサロベツ原野に棲息する野生動物、とりわけテンやユキウサギ等の小さな哺乳類の生活史の記録では定評があり、私も以前から注目している写真家の一人です。本日紹介の写真集は、氏の一連のテーマであるサロベツ原野を中心に棲息・記録されたワシやタカをまとめた一冊です。

日本に棲むワシタカ類をまとめた写真集や図鑑は他にもいくつかありますが、この写真集で注目すべきはその全てをサロベツ原野という限られたエリア内で撮影している点ですね。数も普通種に較べれば少なく尚かつ棲息情報も限られた種が多いので、自ずから全国区で撮影されることが多いワシタカ類ですが、それを地域限定でまとめているのはさすがとしか言いようがありません。内容的にも単なる見栄えのする写真の羅列でなく、科学的視点でのカットも多数掲載されており、特にオジロワシやオオワシの羽衣の年齢別変化の記述辺りは観察する際の参考にもなります。

北海道で記録されているワシタカ24種中16種を記録しているサロベツの自然環境の豊かさ懐の深さ(とは言えそのサロベツでさえも環境破壊が進んでいると氏は嘆いておられますが)にも驚きますが、何より氏の観察者としての写真家としてのその技術の高さに感服します。

« カラフトマス | トップページ | MFニッコールの終焉 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。