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2006年7月10日 (月)

風車問題

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「風力発電」と言う言葉にあなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。直接的に考えれば、化石燃料に変わるクリーンエネルギー..脱原発..、イメージだけで捉えれば、オランダやデンマーク等ののどかな田園風景..。上の写真は北海道の日本海側で撮影したものですが、とても「のどか」には見えないですよね。

風力発電は、地球温暖化防止を含むエコの名の下に、近年各地で注目を集めている発電方法です。発電時に二酸化炭素を出さない..施設の建設費や維持費が安く済む..風力そのものは無尽蔵である..等、既存の原発や化石燃料を使う火力発電に比べ、クリーンである点が謳われています。しかし現実的には、風任せのため発電量は不安定..その発電量に比べて建設コストが割高(建設費の一部は税金が使われます)..鳥類の衝突事故であるバードストライクが発生する..等の問題があるのも事実です。もう一つ付け加えると、風車のタービンの耐用年数は10数年しかなく、それが過ぎると単なる巨大な産業廃棄物と化します。日本ではとかく「エコ」や「環境に優しい」といったプラスイメージが先行しがちですが、海外では既に多くのマイナス面が噴出して訴訟問題にもなっています。

ちなみに国内における発電施設の立地(計画も含む)は主に海岸沿いや山地が多く、前者では北海道のオオワシ・オジロワシの衝突、後者ではイヌ○シやクマタカの衝突問題が表面化しつつあります。また、風力発電事業推進に当たっての環境影響調査がアセスメント法の対象になっていないため、事業者側の自主的な調査のみに限定され、兵庫県のケースではずさんな調査の一端が浮かび上がってきています。

現在私が所属する研究グループでは、問題点に挙げた三つ目、すなわちバードストライクについて取り組んでいますが、風力発電問題全般については、以下のURL「猛禽の森」に詳しいです。私がここであれこれ書くよりも、より多くの核心に触れられます。
http://www.d1.dion.ne.jp/~akaki_ch/windfarm.html

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写真は昨秋稼働を始めた日本最大の風力発電施設「宗谷岬ウィンドファーム」です。宗谷岬というオオワシ・オジロワシの重要な渡りのルート上に、大型風車が57基も回っているのです。これで事故が起こらないわけがありません。

宗谷岬ウィンドファームについて
http://www.d1.dion.ne.jp/~akaki_ch/cape.soya.html

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北海道のとある湿原の上を滑るようにチュウヒが飛んでいます。そしてその背後には巨大な風車が陽炎に揺れていました。果たして日本中にこのような不自然な光景が広がっていってしまうのでしょうか。
Nikon F5 AF-S Nikkor ED600/4D II + TC-14E RDPIII

最後に、我々は全ての風力発電について反対しているのではありません。その意義、立地、そして本来の目的とするところが、「本当に二酸化炭素削減に寄与する計画であるか」ということ、「環境や野生生物への影響が最小限にとどめられるか、そしてそのための努力を事業者側が行うか」ということを問いたいのです。近い将来、風力発電を含むバイオマスエネルギーについてのさらなる研究、そして実用化が進むことを願って止みません。

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