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2006年9月22日 (金)

サハリンII認可取消

20060922
サハリン島(樺太)は、冬季に日本に渡ってくるオオワシの重要な繁殖地の一つです。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS
F8 1/250 ISO200 Adobe Camera Raw 2.3

先日ロシア天然資源省は、シェルや日本の大手商社である三井物産、三菱商事が出資して事業を進めている、サハリンIIプロジェクトの開発認可を取り消したとのことです。サハリンIIプロジェクトとは、極東ロシアのサハリン島で行われている大型の石油・ガス田開発プロジェクト..特に液化天然ガス(LNG)の生産を行う..のことです。

日本は原油等のエネルギー資源の輸入を中東地域に多く依存していますが、昨今の中東情勢の不安定さもありエネルギー安全保障の観点からもその依存度下げるべく、今回のプロジェクトはその上で重要なものと位置付けられています。資源に乏しい日本のエネルギー事情からしても、海外から輸入すること自体至極当然の成り行きと言え、そしてなるべくなら自前の開発によって、他国の影響を最小限にとどめるような枠組みでの開発が望ましいのだと思います。その点サハリンIIは、前述の通り日本の大手商社が中心となって事業を進めるプロジェクトということのようですから、その重要性は推して知るべしです。

ただ、この手の開発事業につきものとして、周囲の自然環境に配慮して事業を進めているか否かという問題(環境アセスメント)があり、サハリンIIプロジェクトにしてもその例外ではありません。実際、極東でも貴重な自然の残るサハリン島東岸を縦断するかのように建設されているパイプラインについては、国内外からその計画の見直しが叫ばれています。オオワシ、オジロワシ、カラフトアオアシシギ、マダラウミスズメ等の海鳥の他、アザラシ等の鰭脚類の貴重な生息地における、パイプラインの施設やプラント建設に伴う工事による瑕疵、もしくは万が一の原油流出事故..知床での油漂着による海鳥汚染問題が記憶に新しい..が懸念されるているのです。

そんな状況での認可取消の報は、国内外で事業反対を訴える関係者に吉報となりましたが、ここで問題なのはその中止理由です。貴重な自然を守ると言った主旨の認可取消..建前上はロシアの環境規制を順守してないからとしている..でなく、エネルギー輸出立国として再生を図るロシアが、エネルギー産業に対する支配力を強化するという政治的且つ戦略的な思惑が絡んでいるようなのです。つまりロシア側の考え方次第でまた計画が認可される可能性があるわけです。

国が国として存続し、人が人として暮らしていくために必要なライフラインとしてのエネルギー輸入問題。それがどうしても避けては通れない問題なのは理解できます。エネルギーが不安無く供給されることの利便性を、末端で享受するのは他でもない我々自身なのですから。しかし、世界に誇れる貴重な自然、そして次世代に残されるべき貴重な生きものたち。そんな沢山の命の行く末が、国家とか企業とかの思惑で左右されそして決められていってしまうことへ、言い表せぬ不安と憤りを覚えるのもまた事実ですね。

20060922b
晩秋を迎える頃、サハリンから宗谷岬を経由して多数のオオワシ・オジロワシが飛来、そして知床上空を通過していきます。今年も無事に彼らがグライディングする姿を見ることが出来るでしょうか。出来ればそんな不安を抱くことなく、毎秋、毎冬、彼らと再会したいものです。
EOS 5D EF28-300/3.5-5.6L IS 210mm
F8 1/250 ISO100 Adobe Camera Raw 2.3

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コメント

一番最初の写真。すごい!
剥製の写真かと思ったよ。(笑)

判っているとは思うけど、
どっちも昨日撮ったんじゃないよ(笑)。

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