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2006年9月14日 (木)

風変わりなタカ

20060914
雨の中、目の前のヒノキにハチクマがやってきました。どうやら翼が濡れてしまい上手く飛べなくなってしまったようです。
Canon XL H1 EF400/5.6L(EFアダプターXL使用)

ハチクマは猛禽類の中でもちょっと変わった習性をしたタカです。一般的に言って猛禽類の餌となるのは小鳥や小動物が多いわけですが、ハチクマが好んで食べるのはハチ(蜂)..特にクロスズメバチ..の蛹や幼虫です。それ故猛禽類特有の豪快なハンティングなどということはせず、忍者のように森の中を枝渡りしながら親バチを探し、その巣への出入りを確認すると地上を歩いて接近、地バチであれば嘴と脚を使って巣を掘り起こし、中の蛹や幼虫を食べるのです。ハチを襲って逆に刺されないのか不思議なものですが、一説にはハチが嫌う体臭をしているとも言われています。

ハチクマはサシバ同様、夏に日本で繁殖して冬は越冬のために南へ移動します。つまり渡りをするタカというわけです。他にノスリやハイタカなども渡りをしますが、ハチクマやサシバが彼らと異なるのは、前述の通り食性が夏季に活動する昆虫や小動物であるため、ほとんどが九州以南..ハチクマは東南アジア、サシバは南西諸島以南..に移動するのです。ハチクマはハチが主食である都合上、そのハチの活動に合わせて渡ってくるため、春の渡りは4月後半から5月中旬とサシバよりは遅めになっています。逆に秋の渡りでは8月から9月後半にピークが来るため、サシバよりは若干早めですね。遅く渡ってきて早くに去っていく。一見何やら矛盾しているような気もしますが、栄養価の高い蜂の子食べることで、他の猛禽類よりも繁殖期間が短いのも特徴です。

外観上、羽色に個体差が多いのも特徴で、淡色型・中間型・暗色型の概ね3タイプに分けられますが、淡色型と暗色型を同時に見ると、知らない人ならばまったく別のタカと思いこんでも仕方ないでしょう。また、ハチの巣を見付けたりして興奮すると、後頭部の冠羽を立てる点はクマタカに似ています。つまりハチを食べるクマタカのようなタカなのでハチクマと言うわけですね。

20060914b
件のハチクマは半時ほど羽を乾かした後、思い立ったように飛び立っていきました。
Canon XL H1 EF400/5.6L(EFアダプターXL使用)

我々が普段調査する中で注意するのは、類似種との誤認です。空を見上げると大概の猛禽類はシルエットになってしまい、慣れない人だとどれもこれも似たように見えてしまいますが、もう20年以上も空を見上げるのが仕事になってくると、そんなに識別は難しくありません。しかしそれが遠距離になってくると話は違い、陽炎が立つ数キロ先の稜線上にチラッと姿を見せたようなケースだと、識別は非常に厳しくなります。で何が言いたいのかというと、ハチクマとサシバが南へと渡っていくと、それだけ識別で悩む種が一時的に減ると言うことを意味するのです(笑)。

20060914c
8月に同調査地内で撮影したハチクマの暗色型。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS + EF1.4xII
F5.6 1/350 ISO100 Adobe Camera Raw 2.3

さて、チラホラ各地からハチクマやサシバの渡りに関する情報が入り始めました。今年も何ヶ所か観察に出掛けようと目論んでいますが、同時に足元である北毛エリアの渡りポイントも探さなければなりません。この4年ほど9月はポイント探しに力を入れているのですが、今のところまだ有力な場所は見つかっていませんので。

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コメント

私ね、鳥って興味なかったのね。動物園行っても全然おもしろくないしね。でもね、アラスカ行ってから、飛んでいる鷲がこんなにきれいなんだって始めてしった。でさ、よく考えたら、動物園では鷹や鷲が木に留まってるだけで飛んでいる姿って見たことなかったんだよね。 あれからBDさんが鷹や鷲を追っていることがなんとなくわかって、写真見ても違う見方ができるようになった。経験は大切だねぇ。

ところで、今日くまさん射殺されてたね。殺されたことそのものではなく、畑へ降りてこなければならなかった理由が何なのか。その辺が悲しいね。

すんません、一部コメントを修正させてもらいました。m(_ _)m

> 飛んでいる鷲がこんなにきれいなんだって始めてしった。

身動きできない状態を喩えて「かごの中の鳥」と言うけど、まさに鳥は大空を自由に飛んでこそ鳥。中でも大型のワシやタカが風をつかまえて飛ぶ様は、何度見ても飽きないです。

> 今日くまさん射殺されてたね。

今年に入って日本中でどれだけのクマが人知れず殺されていることか。中には殺さなければならない個体もいたかもしれないが、安易な道を選択してないだろうか。それがちょっと心配。

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