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2007年2月20日 (火)

風連結氷せず

※以下、19日の記事になります。

20070219
エルニーニョの影響で今年は暖冬だと言われていますが、その影響がもろに出ているのが湖沼の凍結です。ご覧の通り根室海峡沿いの湖沼も岸近くを除いてほとんどが凍結していません。道東地域の冬の風物である氷下待ち網漁も、ここ風連一帯では例年の半分程度しか出来ないとのことです。
GR DIGITAL F6.3 ISO64

そうなると気になるのは越冬するワシの数ですが、ちょうど先日18日に一斉カウントが行われ、早々にその結果を入手したところ、風連一帯で748羽という数字が出ています。一見するとかなり多い数に見えるでしょうが、例年だと900羽近く、多い年で1200羽を数えることもあるので、748という数字はやはり少ないと見るべきでしょうね。実際、根室半島..温根沼も結氷せず..の海岸線から野付湾周辺を流しつつワシの姿を追ってみましたが、確かに実感として少ないと感じるものがあります。暖冬の影響で結氷せず、氷下待ち網漁が減っていることが、ワシ達の胃袋に直結していることは火を見るより明らかですね。

暖冬の影響..と言うよりは湖が凍ってないことに起因?..をもう一つ。昨年は越冬数がゼロだったタンチョウですが、今年は4ペアがそのまま越冬しているとのこと。それにオオハクチョウも、結構な数が南下せずに湖に留まっているようですね。かく言う私も槍昔にて、ヒシクイ3羽が湖に向かって飛んでいくのを目撃しました。越冬云々ではなく、もう北帰行も始まっているということでしょうかね。

20070219b
走古丹では昨年まで行われていた駆除から一転、シカの有効利用を目的とした捕獲が行われているらしく、集落の外れに捕獲用の柵が設置されていました。こんな簡単な仕掛けに引っ掛かるものなのか疑問もありますが、おびき寄せるのに使われる干し草のロールは、この季節のシカ達にとってはご馳走以外の何ものでもないのでしょうね。ちょうど行ったときは業者が干し草を搬入中でした。ちなみに有効利用とは、増えすぎて走古丹の植生に多大な影響を及ぼすシカたちを、まあ早い話とっ捕まえて食っちまおうということです。シカの間引きと、食肉としての資源活用という一石二鳥的な試みですね。
GR DIGITAL F8 ISO64

20070219c
根室海峡に流れ込む某川の河口付近で、この辺りをテリトリーとするオジロワシの雄を見付けました。実は直前まで雌も隣にパーチしていたのですが、ちょっかいを出してきたカラスを追って飛んでしまいました。ちなみにこのペア、ある筋の方々にはかなり有名なペアです。
Canon XL H1
EF28-300/3.5-5.6L IS + EFアダプターXL


20070219d
根室海峡周辺の湖沼群でもオジロワシの営巣チェックです。この巣は見通しの利かない..周囲の葉が茂ると雛が大きくなる頃は特に有効..二次林の奥にあるため、営巣には好適地だと思うのですが、巣材に雪が積もっているところみると、今日現在ではまだその気はないようですね。1000mmの手持ち撮影でスタビライザーを効かすのを忘れてしまったため、ちょっとブレていますがご容赦を。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS + EF2x II
ISO100 DPP2.2 Picture Style「忠実設定」


20070219e
こちらは湖を見渡す崖地のハルニレに作られた巣。標津のF君によれば、最近新たな巣材が運び込まれたらしく、それなりに修繕もされているようで、このペアはやる気はあるようです。しかしいつ見ても見事な巣の作りですね。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS
ISO100 DPP2.2 Picture Style「忠実設定」


20070219f
根室海峡に流れ込む某川の河畔林で出会ったオジロワシ。かなり手前からお互いに存在に気付いていたのですが、私の目的地がその奥にあるので、カメラを担いで構わず歩いていくと、結構近くまで接近を許してくれました。結局は飛ばず終いだったのですが、帰る際もジロジロと睨まれてしまいました。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS
ISO100 DPP2.2 Picture Style「忠実設定」

この後、春国岱でフィールドスコープにてタンチョウを観察中、背後から突然英語で声を掛けられビックリ。振り向くと、双眼鏡とカメラを構えた初老の外国人ご夫婦が立っていました。物腰からしてただ者ではない雰囲気を漂わせていましたが、聞けば遠くイギリスからはるばるやって来たらしく、鳥類の中でも日本固有種を観察して回っているとのことです。しかしさらに驚くのはその後でして、話を聞いているとどうやらこのご夫婦は、今までに約8600種の鳥類を観察しているというのです。鳥類は世界に約9900種と言われていますから、実にその87%の種類をその目で見ているということになりますね。いやはや世界には凄い人たちがいるものです。

20070219g
トドワラの枯木でオオワシが羽を休めています。このまま日が沈めば絵になるなぁ..と考えていましたが、残念ながら西の地平線には雲があって、狙ったようにはいきませんでした。
EOS30D EF70-300/4.5-5.6 DO IS 240mm
ISO100 DPP2.2 Picture Style「スタンダード」

日没を見届けて機材を片付けていると、近くで同じように撮影していたカメラマンの一群から、「雲の野郎が邪魔しやがって」とか「高い金払って北海道まで来ているのに」等の罵詈雑言が聞こえてきました。一体この人達は何様のつもりなのでしょうか。目の前で起きた自然の出来事を、ありのまま記録してこその自然写真であるはずです。そしてそれこそが写真本来の醍醐味なのです。まだ若い人たちならば若気の至りもあるでしょう。しかし、恐らく年の頃は初老を迎えようとしているような、人生経験豊かな人たちがこのような態度いるようでは、ほとほと開いた口がふさがらないというものです。こういう謙虚さの微塵もない連中こそ、永遠に地平線の彼方に沈めてやりたいですね(苦笑)。

20070219h
夜は潮風(ウトロの食事処)にて友人と一杯。写真は今晩の獲物である、最高に旨いコマイのフライ。でもこの後に出てきたホッケの味噌漬けはもっと旨かった。残念ながら写真を撮る前に食べてしまったので、紹介はできません(笑)。

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