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2007年2月18日 (日)

羅臼のワシ

※以下、17日の記事になります。

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今日は環○省羅臼事務所のIレンジャーとF君に同行し、羅臼海域のトド調査に参加。海を見渡せる幾つかのポイントから、双眼鏡とフィールドスコープを使った目視によるカウントを行います。今日のカウントでは圧倒的にトッカリ(アザラシのこと)が多く、肝心のトドは海岸から離れた位置を遊泳していました。カウント数等の詳細な情報は、羅臼ビジターセンターの情報掲示板をご覧ください。
GR DIGITAL F8 ISO64

今日の根室海峡は、昨日通り過ぎていった低気圧の余波でやや風があり、うねりがある状態でした。流氷は未だ入ってきていませんが、相泊沖に流氷帯が見られたような話を観光船のスタッフから聞きました。

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これがトドです。トドはいても波間に見え隠れしていたので、証拠写真程度しか撮れず。その代わりにビジターセンターの剥製で失礼します。
GR DIGITAL F2.4 ISO141

トドの牡の成獣は、大きいものになると体長3m、体重1tと言いますから、ゴマフアザラシなどから比べるとかなり大きい鰭脚類ですね。彼らの仲間を専門分野としているIレンジャーの話によれば、羅臼海域で見られるのはほとんどが牝とのことで、大きい牡は滅多に見られないそうです。さらに、刺し網を破ってスケソウダラを食い荒らすその行状からして、ここ羅臼でのトドの評判はかなり悪いものがあり、一応捕獲制限枠が設けられてはいるものの、昔から有害駆除の対象になっています。その辺りは知床の世界自然遺産登録の際にも問題になりましたが、IUCNのレッドデータリストでは絶滅危惧種に指定されているほど、トドは世界的には貴重な鰭脚類なのです。

トドの調査と言っても、当然私はワシの取材がメインですので、自ずから海よりも陸側に目が行ってしまいます(笑)。F君に断りを入れつつ、ビデオを向けて回すのはやっぱり海岸段丘上のワシのなる木ですね。それではまずはビデオ映像から切り出した静止画をどうぞ。
Canon XL H1
EF28-300/3.5-5.6L IS + EFアダプターXL


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続けて飛翔シーンはデジタル一眼レフの画像からどうぞ。
EOS-1D MarkII N EF500/4L IS
ISO100 DPP2.2 Picture Style「忠実設定」


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やっぱりワシは飛んでいる姿が美しいですね。

20070217k
これは何かの冗談かと思うような光景。
Canon XL H1
EF28-300/3.5-5.6L IS + EFアダプターXL

前述の通り根室海峡側にはまだ本格的な流氷が入っていませんが、そうなると沖合の流氷上に魚のアラなどをまいてワシをおびき寄せ、お客であるカメラマンに撮影させることを生業としている観光船..我々は餌付け船と呼んでいる..は商売あがったり状態です。沖合に流氷がない場合、一昨年辺りまでは出港そのものを見合わせて自粛していたのが、あろう事か郊外の港..さすがに本港ではひんしゅくものなのでしょう..の堰堤上に予め餌を置いておき、そこにワシを集めて周りから撮影させるという、何とも困った行為を始めたようです。もうこうなると何でも有りの無法状態の様相を呈していますね(苦笑)。

これには一緒にいたIレンジャーも苦笑いしていましたが、法律で禁止されているわけではないので、今のところ注意喚起ぐらいしか打つ手はないとのこと。それでも環○省がワシの餌付けの実態調査に乗り出すらしいので、近い将来餌付け行為そのものに規制が掛かることになるやもしれませんね。

私自身、野生動物への餌付け行為を否定するつもりはありません。直接的であれ間接的であれ、その餌で命をつなぐ生き物がいることは紛れもない事実ですから。ただし直接的にそれに関与する場合、やはり程度の問題はあるでしょう。分別わきまえ常識の通用する範囲で商売すればいいものを、結局自分たちで自分たちの首を絞める行為を助長していることに、早く気付いて欲しいものです。このままだと、冬季にタンチョウやハクチョウに行っている給餌行為と同じだという言い訳も、何やら虚しく聞こえます。取り敢えずは同業他社が追随しないことを祈るばかりですね。

しかしお客であるカメラマンもカメラマンですな。堰堤の上の撒き餌に群がったワシを撮って、果たして目指す絵になるものなのでしょうかねぇ(苦笑)。

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原生自然環境保全地域に指定されている、標高1330mの遠音別岳を羅臼側から望む。斜里側から見るとなだらかな山容をしていますが、羅臼側はスッパリと切れ落ちている様子が判りますね。遠音別岳は山頂への登山道などまったく整備されておらず、夏季に調査のため斜里側からアプローチを試みた友人は、そのあまりの険しさに途中で断念したそうです。
EOS30D EF70-300/4.5-5.6 DO IS 260mm
ISO100 DPP2.2 Picture Style「風景」


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夜はウトロへ戻り、知人の知床料理屋にて懇親会でウィ~。参加者は、料理屋ご夫婦、東京から来たエリート商社マン、地元の小学校の美人教師、それに怪しい三流カメラマンと、メンツは何とも多種多彩。こちらに来ると、とかく似たような思考の人と関わる機会が多いわけですが、たまにはこんな「住む世界が違う」人たちと話をするのも、旅の空の下の醍醐味と言えますね。ちなみに写真は「時知らず」の刺身。もう絶品です(笑)。
GR DIGITAL F2.4 ISO154

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