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2007年5月23日 (水)

空の亡霊

それまで座ってのんびりしていた雛が、遠くを凝視するのが判りました。親が戻ってきたならすかさず鳴くはずですが、一点を見つめたまま動きません。ブラインドの隙間から雛の見つめる方向を双眼鏡で覗いてみると、2つの物体..この時点ではまだ点のように小さい..が並んで飛んでくるではないですか。

これは親鳥がペアで戻ってきたのだと思い、三脚ごとビデオカメラの向きを変え、物体をファインダーに捉えて待ちます。たまたま巣内をアップで撮るためスチル用の500mmレンズを装着してあり、35mm換算で3000mm超の焦点距離でしたが、やがて点のような物体が近づいてくると、妙に直線的な動きで且つお互いまったく距離が変化しないことから、それは親鳥ではなく飛行機であることが判りました。

20070523
さらに近づいてきたところをファインダー越しにフォローすると、日の丸を見るまでもなく、時代を感じさせる古くさいフォルムに独特のカラーリングから、航空自衛隊のF-4EJ(通称ファントム)という機体であることが判ります。今日の日中は気温も上がってかなり大気の揺らぎを感じましたが、陽炎の中をゆらゆらと飛んでいくその姿はまさに「亡霊」のようでした。下の倅が学校から戻るなり「昼間、戦闘機を2機見た」と言っていた正体はまさにこれですね。
Canon XL H1 + EF500/4L IS

最近県内においてソニックブーム..航空機が超音速で飛ぶ際に発する衝撃波..による事故が起きています。轟音とともに窓ガラスが突然割れるという被害が数件報告されており、一応犯人は正体不明の飛行機ということになっていますが、まさか国内の空をそんな物騒なものが飛んでいるとは考えられず、恐らくは在日米軍機による飛行訓練だと言われています。実際、F-15と思しき機影2つが沼田市内の上空を飛んでいるところを、私自身も目撃しています。

どうも某国戦を意識した山岳域の飛行訓練のように思えてならないのですが、お願いだからこの時期に県内北部の山に近づかないでもらいたいものです。我々が観察している猛禽類は今がまさに育雛期に辺るので、そんな状況下で巣の近くでソニックブームでも起こされたらたまったものではありません。どうかこの手の訓練は自国のだだっ広い荒野で済ませてきてほしいですね。

と、機影を見送りながらそんなことを考えていると、機影が視界から消えると同時に、後から追いかけるようにジェットエンジンの爆音が谷の中を通り抜けていきます。一瞬、エゾハルゼミの合唱が止んだように思えましたが、爆音が聞こえなくなるとまたブラインドの外でジージーと鳴き出しました。勝手なもので、いつもはうるさいと感じているエゾハルゼミの鳴き声も、この時ばかりは優しく感じましたね(笑)。

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コメント

瀬戸内海の某国領域ではタッチ&ゴーを連日のように繰り返しておりまする。この海域にはスナメリが生息してるんですよ。やりきれませんねえ

そう言えば瀬戸内にも某国の軍事施設がありましたね。こっちの飛行訓練は公然とした秘密らしいので、何をどう問いただしても知らぬ存ぜぬで始末が悪いです。

私も群馬県在住ですが時々戦闘機を見かけました。特に冬場の風の強く雲が多いときに爆音が聞こえることが多いようです。空っ風の音でエンジン音がマスクされるとでも思っているのでしょうか。速く飛ぶので、音がして空を見上げても機影を確認することが困難です。
私が良く見るのは横須賀を母港にしている空母キティホークの艦載機 F/A-18 スーパーホーネットのようです。エンジン出力がUPして、より騒音も大きくなったらしいです。
私は一応飛行機も鳥の仲間として?少しだけ楽しんでいますが、あの爆音は非常に迷惑ですね。

F/A-18スーパーホーネットと言うと、確か湾岸戦争で一躍有名になった海軍の艦上攻撃機ですよね。モノクロのモニターで目標を捉えてミサイルを命中させるシーンは、テレビで何回も流れたのでよく憶えています。名前からしてスズメバチですから、刺されたら痛そうです(笑)。

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