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2007年7月 7日 (土)

本白根山のコマクサ

白根山の南側に位置する本白根山では、半世紀の時を経て復活したコマクサの大群落を見ることができます。

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高山植物の女王と言われるコマクサはもともと白根山一帯で自生していましたが、盗掘が相次いで戦前には絶滅寸前まで追い込まれました。本来は3000m級の高山に生息するコマクサですが、草津白根山一帯は2000m程度で比較的アプローチがしやすく、戦前は主に薬草として、その後は高山植物ブームによる自己満足的盗掘の被害が多かったようです。それを万座の干川文次氏と六合村の山口雄平氏(何れも故人)の並々ならぬ努力によって復元までこぎ着け、今や日本一のコマクサの大群落となっているのです。移植した数は37000本、まいた種は300万粒と云いますから、その途方もない努力と労力は推して知るべしですね。

現在その遺志は地元の有志..地元の中学生、草津町、嬬恋村、森林管理署、自然保護団体..によって引き継がれ現在に至っています。が、悲しいことにコマクサ(に限らず)の盗掘は今でも時々あるようで、有志による巡視活動が引き続き行われているそうです。

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EOS-1D MarkIII EF28-300/3.5-5.6L IS
ISO100 DPP3.0 Picture Style「忠実設定」
(以上データ共通)

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時は移ろい現在のコマクサの敵はこんな輩です。写真撮影のツアーか何かで来ていたカメラ親父ですが、思いっきり三脚がコマクサの群落の中に入っています。しかもこの後は調子に乗って自身もロープの内側に入り込んで、すぐ手前のコマクサを踏みつけ始めました。私の目の前でこのような暴挙に出るとは良い度胸のこのおっさんに「お前のためにコマクサは生えているのではない!」と一喝。いい年した本来分別あるべき人生の先輩が、私のような若輩者に公衆の面前で説教される情けなさ。カメラマンと世に一括りに蔑まれている連中が、自分たちで自身の首を絞めていることになぜ気が付かないのだろうか。団塊の世代と呼ばれるリタイア組の中から、ますますこんな輩がこれから増えてくると思うとやりきれませんなぁ。

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草津白根山とは白根山・逢ノ峰・本白根山を総称する呼び名です。一般的に草津白根と言えば、湯釜(昨日の記事中8枚目の写真)を擁し現在も活火山として活動する白根山を指すことが多いですが、現在の山体を形作ったのは本白根山の噴火活動になります。写真奥のピーク(2165m)が本白根山の三角点があるところですが、地図によってはその手前のピーク(2150m)を本白根山と記してある場合もあるようです。

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本白根山の爆裂火口の跡である「から釜」を望む。コマクサの群落はこのから釜の縁に沿って点在しています。

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南側から見たから釜。ここから岩場の展望台に上がると360℃の視界が開け、天気が良く条件がそろえば遠く富士山まで遠望できます。

EOS-1D MarkIII EF17-40/4L
ISO100 DPP3.0 Picture Style「忠実設定」
(以上データ共通)

関連記事(高山植物の女王)
http://bigdipper.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_3485.html

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コメント

綺麗な花や景色が見られるのも優しい地球のお陰さん!
先日の尾瀬での湿原に足を踏み入れて写真を撮ってた「おやじ」と云い、
今回のコマクサ殺人鬼と云い
BIGDIPPERさんが言ってた通り
「そんなことで撮った写真なんか何の値打ちも無い!」ですね。

そんなオヤジが子を育てるから日本がおかしくなってきているのだと私は思います。

しかし、それをチャンと指摘できるBIGDIPPERさんは
「えらい!!」

結果の写真だけを見て、撮影者がルールを守ってないことを見抜くことは難しいです。知らずにその写真だけを見て良し悪しを判断することは容易いでしょう。でも撮影者本人は自分自身を騙すことは出来ないわけです。それでも良心の呵責が起きないとなれば、その人はその程度の人間だということです。自分を欺いてまで撮った写真に果たして如何ほどの価値が、また意味があるのか。もう言わずもがなですね。

コマクサは藤の花にならんでてんぷらにしてもおいしいんですよ。もともと薬になるだけにまさしく健康食品。こんなこと書くとほんとに採って食べる人でてくるんだろうなあ。食べるととっても苦いからやめようね。(げてものぐいかお前は!とよくいわれますが、食物連鎖の一端を担っていたいだけです。ちなみにコマクサを食したのは中国での話ですから。)
食物連鎖からはずれ、地球に生息する癌細胞。それが人間と考えるおさるも他人のこと言えた義理じゃないけど、自分のあきたらない欲望をどこで満たすか。自制心を鍛えなおす教育が必要ですね。自然の中では謙虚でいたいものです。

そりゃ私も山へ上がったり森へ分け入ったりするれば、虫たちを蹴散らし草木を踏みつけて歩きもしますわ。でもそれはクマもキツネもシカも皆同じ。しかし自然界での暗黙のルールと同時に、人社会には人自身の手で作られたルールがある。小学生でも解るような「立入禁止」「採取禁止」など、守って当たり前のルールが守れない大馬鹿者がちと多すぎ。(-_-メ)

> ちなみにコマクサを食したのは中国での話ですから

おさるさんが中国?それって孫悟空?(笑)。

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