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2008年1月31日 (木)

雷と空っ風

今日は冬の上州(群馬県)の空に吹く空っ風の話です。

西高東低の気圧配置が強まり、発達する低気圧が日本海から水分を補給し、湿った空気を伴った季節風が日本海側に吹き付けます。やがて季節風は日本列島を中央で隔てる山脈にぶつかりますが、その際に重く湿った風(空気)は山脈を越えることなくその手前に、そして水分の無くなった風は山脈を越えてその先に吹き抜けることになります。つまりその前者が多湿な降雪を生み、後者がいわゆる空っ風となるわけです。

これらを群馬と新潟の関係に当てはめれば、日本列島を隔てる山脈が谷川連峰に代表される上越国境の山々で、重く湿った風の吹き付ける側が新潟、空っ風が吹き抜ける側が群馬と言うことになります。ただ、上越国境の山々を越えた風がすぐに空っ風になるわけではありません。赤城山や榛名山などいわゆる上毛三山辺りまではまだ湿った空気が多く、それ故に上越国境の山々と上毛三山に挟まれている利根沼田地区は、新潟側と同様の気象であることが多いわけです。

以上が群馬に空っ風が吹く理由ですが、他の地域であっても同じような地形であれば、多かれ少なかれ似たような気象現象が起きているはずです。

ちなみに、みなかみ町よりさらに北側の利根川源流域を奥利根と称しますが、奥利根はみなかみ町周辺よりもさらに新潟側の気象、つまり日本海側気候に近いという事実があります。太平洋側気候か日本海側気候かの区分は、本来であれば分水嶺、すなわち上信越国境の山々と言うことになるはずですが、急峻かつ冷涼な地形の奥利根周辺では、隣接する尾瀬やその北側の東北へと連なる山々を含め、双方の気候区分を擁するある意味特殊な地域と言えます。

尚、奥利根については当ブログ内を「奥利根」で検索すると、いくつかそれらしい記事がヒットすると思うので、そちらも併せてご覧ください。

20080131
冬型の気圧配置の影響で風雪が強まる上越国境付近。新潟県側はもとより、奥利根を含め群馬県側のみなかみ町なども雪雲の中です。

20080131b
冬であっても昨日のように冬型の気圧配置がゆるむと、天候は回復に向かいます。谷川連峰の向こう側(新潟側)に青空が広がっているのが判りますね。

話のついでですが、上毛かるたに「(ら)雷と空っ風、義理人情」と詠まれている群馬名物の雷についても、前述の空っ風同様に群馬の地形に起因しています。

夏の暑い時期、暖かく湿った風が山脈にぶつかり、空っ風と同じように乾いた風だけが山脈を越えて吹きます。風は勢力を増した夏の太平洋高気圧によって起きる下降気流で、強制的に平野部に吹き下ろすことになりますが、この時に空気が圧縮されることで温度が高くなるため、平野部の気温が上昇することになります。これをフェーン現象と言いますが、さらに平野部で暖められた空気はやがて上昇気流を伴って積乱雲(雷雲)を形成、それが雷となって地上に降ってくるというわけです。

20080131c
上州武尊山の西尾根にわき上がる巨大な積乱雲。やがて雷雲へと成長し、夜半には雷が鳴り響くことになります。平野部とは異なり、利根沼田地区の雷は夜鳴ることが多いようです。

近年は、東京近郊の都市圏において発生する熱..ヒートアイランド現象の影響..が、太平洋から吹く季節風によって内陸部に運ばれ、それがフェーン現象との相乗効果を生んでいるという報告もあります。県内でもより内陸の東毛の市町村や、埼玉の熊谷周辺が夏にやたらと暑いのもこの辺りに要因があるようです。

以上、上州に空っ風の吹く理由、そして雷の起きる原因について書きましたが、何れも共通しているのは山脈、すなわち上越国境沿いの山々が深く関係しているということが言えます。

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コメント

こんにちわ。りんです。
本日の記事で2つのお話を。
私が中学1年生の時、利根郡のあるグランドで雷に打たれたことがあります。
正確には近くに落ちたということなんですが。その時のことを書きます。
夏休みのある日、仲間3人と釣りに出かけ、数時間も経過すると遠方でゴロゴロといつもの音が。幼少の頃から雷には慣れていますが、当然怖さも知っている。ごく自然に雲の色(雷雲は通常の雨雲とは色、そして発達速度が異なります)、空気のにおい(雷雲が近づいてくる時は独特の空気の匂いを連れてきます)を感じて引き上げにかかりました。
河原に増設された大きなグランドを横切っている時でした。黄色、もう目の前が黄色と黄土色の世界に輝いた瞬間、後頭部からバットで殴られたような衝撃で体が1mくらい前方に吹き飛ばされました。
多分気絶したのでしょう。友人に揺り起こされ正気にもどる前に3人で駆け出し近くの野球場ブルペンに飛び込みました。
1時間もして夏の陽光が戻ってきた時、もう一度3人で現場に戻ると、私たちが慌てて放棄した釣り道具やら靴やらが散乱してました。近くにはカラスの丸焦げも・・・。
どうも、雷はテニスコートのネットを張る支柱に落ちたようで、白色の支柱が黒く変色し、近くに置いてあった箱(?)は焼けあと状態。土は焼けたあとの匂いまで伴ってました。3人の中で、私が一番支柱に近いとこを歩いてました。10mくらいの距離だったと思います。私自身は切り傷と倒れた時、鼻血を出したくらいで済んだのですが、奇跡的に軽症(火傷もせず)ですみました。
しかし、家に帰ってからも振るえが止まらず、後、数回夜夢をみて魘されました。この大人になっても、高熱を出すと必ず同じ夢を見ます。
盛夏に帰省し、夕立とともに雷が鳴り出すと毎度あの時の事を思い出します。
振り返れば、とてもラッキーな要件に囲まれてました。まずは、当時つり竿と言えば竹が主流、今のようにカーボンの物は殆どなかった。しかも一本竿でなく、奇跡的に5段おりを持ち出しており避雷針にならなかった。
真夏で軽装の上、蚊にさされるのでTシャツの上にジャージのような物を着ていた。靴は川の中で足を切らぬようズックをはいていた。貧乏中学生で時計など金属類はほとんど身に着けてなかった。などなど・・・・・
皆さんも十分注意下さい。自然ほど怖いものはありません。この経験で私にプラスに作用したことと言えば、強力電流のおかげて、とても頭が良くなったこと(まったくの嘘です)
もう一つは、上津地区という場所では、雷が度度落ちるので、ほとんどの家の屋根に避雷針が設置されてます。
これに落雷するのを何回も見てますが、不謹慎な言い方で怒られてしまいそうですが・・・遠くからみていると意外と綺麗です。
以上とても怖ーいお話でした。

奥利根およびその周辺に関する気象のお話、ありがとうございました。わかりやすかったです。

そして、ふむふむ、雷には気をつけなくてはならないのですね。

ブログを拝見したり地図を読んだりしていると、奥利根およびその周辺は、三方を囲む山岳地帯、そしてその囲まれた枠の中で少なからぬ面積を占める4つの大きなダム湖などから、ユニークな一面を持っている地域かと思われました。よって、もしかしたら地域的な気象条件が、乾いているはずの太平洋側の豪雪の一因なのかな、なんぞと思ってみたのですが、おおもとはやはり西高東低という公式があてはまるのですね。そう考えると、この4字熟語はすごく汎用性があるのですね。と妙に感心しつつ。

地図や史実をごにょごにょと漁ってみると、水上(の一部?湯檜曽)から奥利根と呼ばれるあたりのエリアは相当ユニークですね。近代における複数のダム湖建設という一大事業以外は、工業的、商業的にめぼしい使われ方をしていない、という。細々とアウトドア、レジャー関係のみ。

首都圏や周囲の地方都市からみた交通の利便性、レジャー性、産業性が高いようにみえる地帯が鼻先に広がっているにもかかわらず、三方を名だたる山々に囲まれ、冬は雪に閉ざされ、4つのダム湖を所狭しと有して身動きのとりにくい閉塞性。そしてそれと相まって、関東の水利や治水から見た重要性が生み出すであろう分水界の保護区規制や水陸両路の交通規制。やはり、あるイミ秘境?なのでしょうか。


あっと、しまった。
HN入れるの忘れちゃった。
失礼しました。

えーと、お二人ともコメントありがとうございます..って、
本文の記事より長いじゃないですか(苦笑)。

【りんさん】

> 利根郡のあるグランドで雷に打たれたことがあります。

な、なんと貴重で恐ろしい体験をしてらっしゃる..

> 雷雲が近づいてくる時は独特の空気の匂いを連れてきます

夕立の匂いですね。記憶の中の匂いの一つです。

> 自然ほど怖いものはありません。

御意。落雷に限らず、台風・地震・火山・津波・雪崩、etc。
自然の持つエネルギーの強大さの前には人の力などひとたまりもありません。
人は自然の前ではもっと謙虚でなくてはなりませんね。

> 強力電流のおかげて、とても頭が良くなったこと

ホー、それはそれは良いことを聞い..(。_゜☆\ バキ(^_^;)

私の住む赤城高原は、沼田盆地周辺の中でも特に標高が高いため、
頭上で雷が鳴るとその存在を非常に近いところに感じます。
また、大規模農業のために周囲に遮蔽物のない畑の農道にいたりすると、
恐ろしく身の危険を感じますね。
我が農婦も雷雲が近づくと車に避難しているようです。

ちなみに私も雷雨に遭遇すると、いつ背中のカーボン三脚に
落雷するかとヒヤヒヤしています(嘘)。

【joshiさん】

> 少なからぬ面積を占める4つの大きなダム湖

人工湖とはいえ大きな水面の存在というのは、
少なからずその地域の気象に影響を与える可能性はあると思います。
ただ、多雪豪雪に関しては昔からのことなので、
これはもう西高東低の季節風が要因であることは間違いないです。

> 商業的にめぼしい使われ方をしていない
> 身動きのとりにくい閉塞性。

ある限られた手段や技術を持った人しか利用できないという事実が、
彼の地の自然を守ってきたのは間違いないです。
ある一定の範囲の自然を破壊して作られてダム湖の存在が、
それより奥に広がる自然を守っているのですから、
皮肉としか言いようがないですね(苦笑)。

> 関東の水利や治水から見た重要性が生み出すであろう分水界の保護区規制

前述の通りですが、さすがに視点が鋭いですね。

時折、奥利根湖には湖面を泳いで対岸に渡るクマが見られます。
矢木沢ダムが完成してから半世紀近くが経ちますが、
野生下でのクマの寿命を20年と仮定すれば、
最低でも3世代は経っているわけです。
そうなると現在彼の地周辺に生息するクマたちは、
湖の存在を当たり前のものとして認知しているわけで、
前述の泳ぐクマの存在もまた当たり前のことになりますね。

本州のツキノワグマも泳ぐのですね。国内の他の場所に棲息するツキノワグマでも当たり前に見られる行為なのでしょうか。

クマはホッキョクグマのみならず、北米のグリズリーにも泳ぎ上手がいると聞きます。

クマカキ、この目で見てみたいものです。

北海道でヒグマが海を泳いでいる姿が目撃されていますが、
クマの仲間は総じて泳ぎは得意ですね。
なかでもホッキョクグマは別格ですが。

> クマカキ、この目で見てみたいものです。

奥利根で親子グマが泳いでいるのを見たことがあります。
親は逃しましたが、子グマの方は何とか撮れましたよ。

すでに過去となってしまったログを引っ張ってしまってすみません。

>親は逃しましたが、子グマの方は何とか撮れましたよ。

ほうほう、そうですか(@@)

いつの日か、差し支えない範囲で、関連記事をアップ下されば幸甚也。

> すでに過去となってしまったログを引っ張ってしまってすみません。

えーと、そんな古い話でもないですけど(苦笑)。
その記事がブログ内に存在する限り、
コメントをどの記事に付けようとも、
それは閲覧された方の自由であります。
以後、お気遣い無きように。

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