« 羅臼の海はいと穏やかなり | トップページ | スケソグラフィティ »

2008年2月20日 (水)

トッカリは海からの贈り物

餌の乏しくなる冬季、生きものたちは日々食べるものを探すことに日常を費やします。釧路湿原のタンチョウの給餌や、羅臼のスケソウ漁船(または流氷観光船)のような、たとえ人の手から得る食べ物であっても、そこには背に腹は代えられない自然界の事情、もしくは野生の強かさを垣間見ることができます。そしてそれが生きものの死体であったとしても、それはまさに自然界からの贈り物と言えるでしょう。

20080220
海岸に打ち上げられたトッカリ(アザラシのこと)の死体。死因は不明..自然死亡の場合もあれば、定置網などに掛かって死ぬ場合もある..ですが、野生に生きる生きものにとってこのような海獣類の死体は、天からの恵み..いや、海からの恵みとなります。理由はともあれトッカリが命を落とすと同時に、それを食べ命を継ぐ生きものたちがいるこの事実。一見残酷のようでもあり、実は太古から現代まで連綿と受け継がれてきた食うものと食われるものの約束、それこそまさに食物連鎖、つまり生態系と言えるのです。

事前に知り得た情報とF君からの的確な位置情報に基づき、2日間漂着トッカリに張り付き、そこで繰り広げられる野生動物たちの食いっぷりを記録しました。

20080220b
まずはオジロワシ。この個体は飛来後真っ直ぐそのままトッカリに降り立ちました。もうすでに何回も足を運んでいるようです。

20080220c
そしてオオワシ。一旦やや離れたところに降り立ち、肩を怒らせながら歩いて近づくと、前述のオジロワシは黙って席を譲りました。

20080220d
ワシ達の腹がいっぱいになれば、次はカラスの番。写真(ビデオ映像からの切り出し)はちょうどワタリガラスがやって来たところ。

20080220e
午後はオジロワシの調査に出たF君に同伴。周辺5ペアの巣の状況を確認、まだ本格的な営巣には至っていませんが、いくつかは有望と見られるペアもいました。シマフクロウも含め、F君はこれから超多忙なシーズンを迎えます。

20080220f
海岸に出てコクガンを撮影するF君。通常は春秋の渡りの時期に姿を見せるコクガンですが、この季節にも残っているのは珍しいことです。

20080220g
ワシ達の冬季のねぐらであるトドワラの落日。

EOS-1D Mk3(EF500/4L IS + EF1.4x)
EOS40D(EF-S10-22/3.5-4.5)
XL H1(EF28-300/3.5-5.6L IS)
Caplio R6

« 羅臼の海はいと穏やかなり | トップページ | スケソグラフィティ »

コメント

えっ、マッコリ? あ、ちがった、トッカリだった。

そちらに行かれてからの記事で見るもの全て、酒か、肴に見えてしまいます。
北の大地を撮っているBigDipperさんよりも、北の大地で飲んでいるBigDipperさんの方を想像してしまうのはなぜなのか?

自分でもよくわからぬヨタ話はさておいて。

写真からは判断つきかねますが、1枚目のトッカリは、かなり浜奥に位置しているようにも見えます。
大潮のころか、海が荒れた時に運ばれたのでしょうか。そして次の大潮か、荒れまでにキレイに食べられ、残った骨と皮は再び海に運ばれ・・・もし、そうならば、よくできていますね。

それにしても、オオワシのクチバシの大きさはハンパじゃないですな。

間違っても、つつかれたくない。
想像しただけで、イタくなってきた。

こんにちは

毎日楽しみに拝見させていただいています。
本当にすばらしい写真と含蓄ある文章に刺激を戴いています!
北の大地からの通信も更新を心待ちにしています!

【joshiさん】

> 北の大地で飲んでいるBigDipperさんの方を想像してしまうのはなぜなのか?

まったくその通りなので心配無用です(笑)。

> 大潮のころか、海が荒れた時に運ばれたのでしょうか。

さすがですね。目の付け所が常人とは違う。
周辺には3頭のトッカリ死体が在りましたが、
うち一つは恐らく定置網に掛かったのを、
漁師が浜で外した可能性が高いです。
(足にひもが絡んでいたので)

> 間違っても、つつかれたくない。
> 想像しただけで、イタくなってきた。

そういうシチュエーションを想像できないぞ。

【くまさん】

> 北の大地からの通信も更新を心待ちにしています!

まだもう少し旅の空の下ですが、
なるべく新鮮なネタをお届けしたいと思います。

この記事へのコメントは終了しました。

« 羅臼の海はいと穏やかなり | トップページ | スケソグラフィティ »