« ハチクマ春の渡り | トップページ | 赤いヤツ渡来 »

2008年5月19日 (月)

ツツジのお婆ぁ

20080519
今年もヤマツツジ..と主は言っているが、恐らく園芸種のキリシマ辺りではないかと思う..が見頃になりました。と言っても山野に自生しているのではく、某所の農家の庭先に植えられているものです。数年前、里山取材中に見付けて以来、近くに来ると立ち寄って撮影させてもらっています。

あまり詳しくは知りませんが、この農家はお爺ぃとお婆ぁの二人で暮らしているようです。実はお爺ぃはいつも留守..大抵は畑に出ているらしい..で見たことがありませんが、お婆ぁは年の頃は80後半のようで、腰が曲がって耳が遠い事を除けばいたって元気、何より私の母親辺りよりかくしゃくとしています。

「撮りたければ勝手に撮っていけばいい」と言ってはくれますが、一応挨拶はしていきます。するとこれまた毎年恒例で、冬以外は常に開け放ってある縁側に座らされ、やたらしょっぱい自家製漬け物群..でも飯は進むのだこれが..とお茶を勧められ、小一時間ほど世間話に花が咲きます。が、話す内容はこれまた毎年同じもので、「息子たちは東京に住んでいて、盆と正月には帰ってくる」「孫たちはすっかり大きくなった」といった身の上話から、「イノシシは柵を壊すのでけしからんが、うり坊はかわいい」「畑を荒らすサルは憎らしい」といった日常生活に及びます。

お婆ぁは私のことについて「動物の写真を撮る人」という部分だけ憶えていて、「どこに住んでいるんだ」「子供はいるのか」「仕事は何をしているんだ(苦笑)」といったこれまた定番の質問を投げかけてきます。私も同様に毎年同じ答えを返し、「今年はクマはどうなんだい」という毎年変わり映えのしない質問..でもお婆ぁは近況を答えてくれるの情報収集にはなる..をして話を締めくくります。

帰り際には必ず「今年はあんまり出来はよくねぇんだ」と言いつつ、朝採った野菜を持たせてくれます。今年はホウレンソウをもらってきましたが、いつだったか手ぶらでは悪いので団子を土産に買って持って行ったら、ジムニーに積みきれないほど大量にダイコンやら白菜をもらったことがあるので、以来手ぶらで行くようにしています(笑)。

20080519b
写真を撮らせてくれと頼んでも、「こんなババァはいいからツツジをきれいに撮っていけ」と恥ずかしそうに断られます。毎春毎秋に繰り返される光景ではありますが、一見何も変わってないようであり、しかし確実に時の流れはあるわけで、可能な限りこの状況が続くことを願いたいものです。

EOS40D(EF-S10-22/3.5-4.5、EF28-300/3.5-5.6L IS)

« ハチクマ春の渡り | トップページ | 赤いヤツ渡来 »

コメント

おはよー
何んともすてきなお話しにこころが暖まり
豊かなきぶんです

良いですねえ!
私も同様の経験をよくします。
忙しいときなどはちょっとだけイライラしてしまったりすることもありますが、そんなときは、後で決まって自己嫌悪です。
こういう時間と空間を大切にしたいものですね。

もともとは猪害の関係で知り合ったのですが、
それ以来まあ何となく立ち寄らせてもらってます。
何より昔から年配の女性受けは良いんですよ、私(笑)。

この記事へのコメントは終了しました。

« ハチクマ春の渡り | トップページ | 赤いヤツ渡来 »