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2008年9月28日 (日)

コリメートビデオシステム

この春にスワロフスキーSTS65HDのズームアイピースを修理に出したところ、国内では修理不能で本国送りになったことは以前に書きましたが、その1ヶ月ほど経ったGW明けに修理より戻ってきました。修理対象のアイカップのみならず、間違って新品を送ってきたのではないかと思えるほど綺麗になって戻ってきたのには驚きましたね。ボロボロだった接眼レンズキャップなどは、まんま新品に交換されていましたし。それでいて30年保証の対象で無償だったのだから、1ヶ月使えなくても文句は言えないです。

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とは言えその間にフィールドスコープが覗けないのでは調査に支障を来すので、代用フィールドスコープとコリメートシステムの一新を目的として、コーワのプロミナーTSN-774を導入しました。それまではSTS65HDに特殊なアダプターを噛ましてHV10をコリメート接続、遠距離の対象を撮影する目的で使ってきましたが、TSN-774と同フォト&ビデオアダプターVA2でiVIS HV30を接続することで、いわゆる純正品によるシステムへと更新した次第です。

コーワのプロミナーについては、周囲でTSN-884を使っている仲間が多く、これといった新鮮味はありません。それでも一応、簡単なインプレを書いておくと、ピント調節用の微動・粗動ノブは、手の動きが伝わらず揺れが少なくて済むので、ビデオ撮影中は助かります。ただ、個体差かも知れませんが、ピントノブ自体の精度はあまり良いとは言えず、やや遊びが多いように思います。それと同一メーカー製だけあってVA2との相性も良く、HV30との組み合わせでは、STS65HD+特殊アダプター+HV10に比べてケラレの範囲が少なくて済みます。

ちなみに何故884でなく774なのかと言えば、予算の都合..などと言うしみったれた理由ではありません(笑)。一般的なデジスコ用途では、ブレを防ぐ意味でもより光量の多い大口径のTSN-884が良いかもしれませんが、ビデオ撮影では必ずしもそうではありません。ビデオの場合はシャッター速度が1/60~1/100が基本なので、あまり明るいレンズだと絞り込まれてしまって、後述する菱形ボケによる周辺減光が発生してしまうのです。884は高価な特殊低分散レンズを使っているので、774より画質が良いという評価もありますが、ことビデオ撮影に限れば言われているほどの差を見付けることは難しいでしょう。

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77mmという大口径の割に意外にコンパクトな筐体。スワロSTS65HDと比べても、ほとんどサイズは変わりませんね。ただ好みの問題もありますが、スワロなど舶来品と比べてやはりデザインは今ひとつですな。同社製の従来品に比べればまあマシになったようですが、相変わらず野暮ったさがあるのは否めません。特にフードを引き出した際に現れる赤いラインは勘弁して欲しいです。キヤノンのLレンズじゃないのだから(苦笑)。

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これはTSN-774とは関係ありませんが、HV30にはLANC端子が装備されてないので、普段使っているマンフロットのズームリモコンが使えません。さりとてカメラ側のボタン類を操作していたのではブレの要因になりますし、何より迅速に操作ができません。そこで付属の赤外線リモコンをパーン棒に強引に固定し、リモコンの代用..いやこれもリモコンには違いないのだけど..としています。固定といってもすぐに外せるよう細工してあるので、撮影待機中には通常の赤外線リモコンとしても使っています。ただ、HV30のリモコン受光部は前面に位置していてるので、パーン棒のある後方からだと角度によっては赤外線が届かないようで、肝心なときにカメラが反応しなくて焦ることもしばしばです。

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TSN-774はVA2でHV30とコリメート接続していますが、最近になってVA3という型番のTSN-770&880シリーズに最適化された新型が発売されたようで、近々手に入れてテストしたいと思っています。HV30の焦点距離は43.6mm~436mm(35mmカメラ換算)で、TSN-774にVA2..774の場合は14倍..を挟むことで610mm~6100mm相当の焦点距離に換算できることになりますが、実際は広角側ではケラレが発生するので、ケラレない範囲を探っていくと概ね1500mm~が有効範囲になります。この辺りはVA3だと多少は改善されるようなので、近距離での撮影にはそれなりに期待しています。

上記組み合わせでの作例はすでに何度か記事にしているので、ここではコリメート接続によるビデオ撮影の問題点をいくつか。

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以前HV30の記事でも書きましたが、コンシューマ向けのビデオカメラの絞り羽は2枚なので、絞り込まれることで菱形のボケになります。写真は極端な例ですが、その菱形ボケがそのまま周辺減光を招くので、酷い場合だと写真のようなケースになる場合があります。基本的に常に絞り開放で撮るようにするか、背景があり尚かつ周波数成分が単一でない場所を選ぶのが現時点での対策となります。

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先の菱形ボケほど酷くはないですが、逆光空抜けや光る水面などのように背景が極端に明るいケースでは、これまた絞りの状態によっては周辺減光になってしまいます。もうこうなると編集でもカバーしきれないので、即ボツ映像ですね。この手の周辺減光を撮影時に確認できればいいのですが、後述するファインダー視野率の問題もあって、なかなか上手い具合にはいきません。

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ズームの倍率によってケラレが生じることは前述したとおりですが、コリメートでつなぐことで倍率が上がって実質的な焦点距離が伸びてしまうので、被写体が近いと思いがけないアップになってしまいます。素人は少しでも大きく撮れることを喜ぶ傾向にありますが、画面中が鳥のアップで占められたシーンなどとても見られたものではありません。そこで少しでも広角側に引こうとVA2を操作するわけですが、その調節を誤ると写真のようにケラれてしまうことがあります(写真の左右下の隅)。さらに問題なのは、HV30のビューファインダーと液晶モニターが視野率100%でないことで、実際にケラれているかどうかは撮影結果を見ないと判らないのです。ズーム倍率と合わせ、事前に実機でよく確認しておく必要があります。

HV30はファミリー向けフルオートのビデオカメラですが、コリメート撮影時の基本はMFです。AFだと常にピントを合わせようとするので、ちょっとした画面の変化でも頻繁にピント位置が動いてしまうため、フィックスの映像としては致命的です。が、空抜けで飛ぶ鳥に対しては割とAFが有効な場合があります。1/3インチという小さなセンサーであることで、もともと被写界深度が深いため、大ざっぱにTSN-774側でピントを送っておいて、あとはHV30のAFに任せるというやり方です。大きめの鳥であれば、この方法で結構歩留まりよく撮ることができるはずです。

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しかしそのAF撮影も、被写体の前に障害物があっては全く使い物になりません。ビデオカメラのAFは、スチルカメラのそれと違ってAFの測距点を任意の位置から選ぶことが出来ないため、概ね常に中央手前にあるものにピントを合わせようとします。上の写真のようなケースはまさにその典型で、撮影時にファインダー..ほんとにしょぼいんだなこれが(苦笑)..ではまったく判らなかったのですが、枝は手前向かって伸びてきているため、さすがに被写界深度内には収まらなかったわけです。

フィールドスコープと小型ビデオカメラによるコリメート撮影は、本来それ自体がイレギュラーな使い方なので、良好な撮影結果を得るためにはそれなりの努力と注意が必要です。それでもバシッと決まったときの映像は、ウン百万円もする業務用のビデオカメラにも引けをとらないものがあります。と言うより、それでしか撮れない映像が撮れる可能性を持っているわけで、適選使い分けていくのがベターだと考えています。特に私のようなカメアシもいない..季節柄家の中にカメムシはいっぱいいるんですが(笑)..ワンマンオペレーションの個人カメラマンには、それなりに強力な撮影機材となっています。

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コメント

こんにちわ。
いつも楽しみにブログ拝見させていただいております。・・・撮影機材ネタの時にしかコメントを付けられないのがちょっと心苦しかったりしておりますが(笑

奇遇にも私も最近プロミナー774を入手いたしました。私の場合は、予算の都合上最高に頑張っても774が精一杯というモロにしみったれた理由。しかも中古(泣
774は私にとって初めてのフィールドスコープでもあり、とりあえずの目的は眼視=観察機材なのですけれど、でもやはりそれだけではもったいない。さてコレをどう料理してやろう?と、現在色々と資料を漁っているところです。
ところで774のインプレッションを読むと「小型軽量コンパクト」の文字が目に付くのですけれど、私的に初めて774を箱から出した時の感想は「・・・でけぇナ」でした。
一眼レフのカメラレンズも含めて、全長30センチなどとゆう光学製品を所有するのは初めてのことですので。

> とりあえずの目的は眼視

それが本来まっとうな使い方です。

> 小型軽量コンパクト

77mmは大口径の部類なので、
同じ77mmのアポテレビットに比べれば、
全長が短くコンパクトではありますね。
ただ決して軽量ではないですが。

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