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2009年6月24日 (水)

5DMk2のM撮影とNDの話

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このところ、5DMk2でマニュアル露出での撮影が可能となる新ファーム(Ver.1.1.0)をテストしています。テストと言っても、そのまま実際の撮影にも使う実戦的なもので、結果的には今のところ満足しています。今まで出来て当然のようなことが出来なかったので、マニュアル露出撮影が出来るようになっただけで感慨もひとしおですが(笑)、取り敢えず撮影に際しての憂いのうち一つは無くなったように思います。

撮影の手順として、まずはモードダイヤルのC3を選択、ここに動画撮影用の基本設定を登録しています。ピクチャースタイルは忠実設定を基本とした動画用のカスタム、ライブビュー設定を静止画+動画、CFnII-3-2(高輝度側・階調優先を「しない」)、CFnII-4(オートライティングオプティマイザを「しない」)、撮影モードをマニュアル、シャッター速度を1/30、絞りをF16(取り敢えずの値)、ISO感度をAUTOと設定しています。

CFnIIの3と4が何れも「しない」に設定してあるのは、両機能が必ずしも期待した結果になるとは限らない点を考慮、それぞれ必要時に随時変更しています。特に両機能を併用..前バージョンまでは両立してなかったらしいが..すると、不自然なほど明るく写る傾向が強く、その使用には注意が必要です。例えば、森の中で陰影を強調して印象的に撮影したいのに、暗部が妙に明るく表現されても困りますからね。

余談。5DMk2に限った話ではないですが、動画は静止画で言うところのJPEG、つまり「撮って出し」に相当し、業界で評判のRED ONEのようなRAW記録..実現は可能だが膨大なデータ量となるので現時点では非現実的..はありません。なので撮影後にイメージと異なるからとレタッチで修正するわけにはいかないので、状況に応じて現場で考えられるパターンの組み合わせで、同じシーンを複数撮影しておく必要があります。

実際の撮影時は、C3の選択後にライブビュー撮影に切り換え、フレーミングとピントを決定。レリーズ半押しでまずは自動露出を表示、その後に希望する絞り値に設定し、最後にISO感度をAUTOから適切な値に変更します。ここでISOがAUTOのままだと、絞り優先AEやシャッター速度優先AEのように振る舞いますが、露出補正やAEロックに相当する機能はないので、露出は固定されません。シーンをフィックスとする場合、ISO感度はAUTO時の値を参考に、露出補正値を加味してセットするのが良いでしょう。もちろんパンやチルトの場合はこの限りではありませんが。

で問題は、希望する絞り値にセットできない場合です。動画はその理屈の上では基本的にシャッター速度は固定して撮影します。5DMk2の場合は1080/30Pなので、シャッター速度は1/30~1/100の範囲が望ましいのですが、例えば日中晴天下においてISO100で1/60となると、EV15で絞りはF22などとなってしまい、これでは絞りを開けて撮影したくても出来ないことになります。

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そこで一般的な業務用ビデオカメラでは、このような事態を回避するためにレンズにNDフィルターが組み込まれ、1/4(ND4)、1/16(ND8)、1/32(ND8+ND4)といったふうに露出倍数を掛けられる仕様になっています。写真はXL H1のHD20xズームのNDフィルター操作部。

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当然のことながら、本来スチル撮影用のEFレンズにはそのような細工はありません。スチル撮影の場合は、レンズ先端にフィルターを装着するのが一般的で、それは減光目的のNDフィルターでも例外ではありません。ただ、その装着方法は昔からネジ込み式と決まっているため、スチル(静止画)と動画を交互に撮影する場合は、極めて煩雑且つ面倒であることは間違いないです。

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そんなこともあって、動画撮影時のみ簡易的に装脱着できるフィルターシステムとして、LEEのラバースナップフィルターホルダーというのを使用しています。まあ簡易的も何も、ゴムでレンズ先端部に固定するだけなんですけど(笑)、装着も取り外しも簡単にできるので重宝しています。ただ、見て判るとおりフードは併用できません。もともとズームレンズの場合はフードの効果はしれたものなので、必要時に帽子や手でハレ切りして対応しています。

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レンズに掛かる円周部は83mmほどあり、手持ちのEF28-300ISでも十分いけますし、小さめのEF35/2辺りでも見た目はともかく何とかなります。

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これに同100mm角のポリエステル製NDフィルター(ND2、ND4、ND8)を挟んで、先のビデオレンズのNDフィルターと同じ役割を実現しています。ただ、フィルターフレームの厚さの関係で2枚以上は挟めないため、別途フィルターのみ重ねたND32を自作しています。それと素材がポリエステルということもあって、耐久性には期待できないので、取り扱いには注意が必要ですね。

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デジタルのこのご時世に、ゴムで装脱着という何ともアナログ的なアクセサリーですが、取り敢えず用は足りているので良しとしています。このまま一眼デジカメで動画撮影が当たり前のこととなると、何れネジ込み式でない..当然ゴムでもない(笑)..もっとスマートなフィルターシステムが考えられるかもしれませんが、本当はキヤノンがムービー用のEFレンズ..電動ズーム・電動フォーカス・NDフィルター装備..を作ってくれるのが一番理想的でしょう。

訂正一つ。以前書いた記事の中で「撮影時間がどこにも表示されない」と記しましたが、撮影時にINFO.ボタンを押すことで、液晶モニターに撮影時間が表示されることに気が付きました。以前からそうだったのか新ファームからそうなのかは今となっては判りませんが、これは実際の撮影では助かります。以上報告まで。

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