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2010年2月20日 (土)

猪肉と鉛の不安

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とある谷筋をスノーシューで徘徊していると、突然頭上、というか目の前に大きな鳥影が現れました。よそ見をしていたこともあって一瞬判断が追いつかず、よもや天狗様かとちょっと焦ったのですが、よく見ればトビでした(苦笑)。さすがにこの近さだと驚きますね。

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ポイントを落としてあるGPSを忘れて来てしまったので、ちょっと目測を誤ったのですが、トビが飛び出したところにはハンターが放置したイノシシの残渣があるのです。辺りをぐるり見渡してから近寄ってみると、予想以上に解体処理が進んでいることが判り、今日の目的の一つであったトラップカメラの設置はあきらめました。もうちょっと早く手を打ちたかったのですが、年度末は飛び込みの仕事が入ってくるのでいかんともし難い状況です。

ま、それはそれとして、慎重に周辺の痕跡を探ってみたところ、キツネと思われるイヌ科の足跡の他、トビやカラスに混じってさらに大きな鳥の足跡も確認。実はここに来るのは最初に発見してから3度目なのですが、前回ちょっとカメラマンとしては垂涎の光景を目にしてしまったので、それを撮ろうと勇んできた次第です。

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この残渣を見つけたのは半月ほど前で、その時点ではこんな↑感じでした。スノーモービルも入って来られない地形なので、仕留めたのは良いが運び出すことが出来なかったのでしょう。一番美味いとされる背ロースだけ2本持って行ったようです。ちなみに上の写真を撮った時点ではカチカチに凍っていました。

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林道脇には何者かの内臓がうち捨ててありました。狩猟期の続くこの季節ならではの光景です。通常の猟期は2月15日までですが、県北ではシカ猟に限って月末まで許可されているので、その理屈から言えばシカの内蔵ということになりますか。まあ本体がないので何とも言えませんが、県外から来るハンター連中には時々ろくでもないのがいますからね。

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別の場所にも同じように内臓が捨ててあり、カラス連中がいるのはその賑やかさから想像が付いたので、静かに近づいたつもりでしたが、ヤツらはちゃんと見張りを置いているので、すぐに見つかってご覧の通りです。

それはそうと、残渣などと書くと一見廃棄物を捨てているようにも聞こえますが、人が食べない部位、特に内蔵などは他の野生動物たちにはご馳走以外の何物でもなく、山に放置してくることで餌の乏しい季節の贈り物と言えます。が、ここで問題になるのは、狩猟に鉛弾が使われてはいないだろうかという不安です。

鉛弾は獲物に衝突した瞬間に炸裂して、被弾部の組織を破壊し殺傷能力を高めるようになっています。つまり弾痕付近に鉛弾の破片が飛び散って残るわけで、残渣に群がる生きものたちは肉片と一緒にその鉛の破片を飲み込んでしまうことになります。鉛は毒性が高く、特に鳥類の体内に入った場合は著しい機能障害を引き起こす中毒症状が現れます。脳神経や視神経に影響が出るため、最終的には苦しみながらの死が待っていることになるのです。

エゾシカ猟で鉛弾が使われていた時代、北海道ではエゾシカの残渣に取り付く越冬中のオオワシやオジロワシに同中毒が多発して問題になり、大型獣に対する鉛弾の全面使用禁止措置..ただ例の如く販売や購入それに所持は可能というザル法ですが..がとられて現在に至ります。それが本州でも今回の記事のように残渣に他の生きものが群がることは日常的であり、いつ同じ問題が起きてもおかしくない状況なのです。というか既に起きているのではないかと我々は考えています。

世界的に見ても、本来なら狩猟における鉛弾の販売も使用も全面禁止とすべきですが、日本ではなかなか思うように進んでないのが実情で、これは早急になんとか対処しなければならない野生鳥獣問題の一つと言えます。

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