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2010年2月 1日 (月)

ものさしカラス

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このところ家の周辺にカラスが多くたむろっています。周辺はほとんど耕地ですし、何より近くに牧場があるのでカラス自体は別に珍しくもないですが、庭の畑に降りていたりするとスズメたちが警戒するのが判ります。うちの駄犬も目の前でスズメがご飯粒を拾っていても気に留めることはありませんが、カラスともなると少々目障りと見えて、あまり近くまで来ると吠えて追い払っています。

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カラスの仲間はハシボソガラスとハシブトガラス(写真1枚目)の他に数種類いますが、普段我々が目にするのは前出の2種類と考えてまず間違いありません。どちらも海辺から高山帯まで日本全国どこにでも生息しており、鳥類の中でも特に類い希なる環境適応能力を備えていると言えます(参考:カラスとカモメの事情)。一応私見になりますが、ハシブトガラスのほうが都市部など人の生産活動における排出物に群がる傾向が強いように思いますね。写真は神話の語り部として擬人化されることの多いワタリガラス。冬鳥として大陸から北海道東部に渡ってくる変わり種のカラスです。

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一般的にカラスは大きな鳥だと認識されていると思います。たとえ空高く飛んでいる場合でも、その大きさは十分実感できるでしょう。それは普段近くで見る機会の多いスズメや飼鳥など、小鳥との比較において容易に大きさを想像できるからだと思います。

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カラスはワシやタカなどによくモビングを行うので、まとわりつくように一緒に飛んでいることがあり、調査の時にはものさし鳥として利用しています。オオタカやノスリそれにサシバは同じ大きさ..何れも雌は一回り大きいが..であり、より大きければトビ、さらに大きければクマタカや天狗様、そしてより小さければハイタカやチョウゲンボウといった具合です。空抜けで周囲に比較対象物がない場合などでは特に有効ですね。写真はクマタカ成鳥に群がるハシボソガラスですが、昔はこのように天狗様やクマタカにまとわりつくカラスたちの姿を、大天狗と烏天狗の関係に喩えていたようです。

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ただ観察距離が離れているとなかなかそう上手い具合に識別できない場合もあって、一旦は天狗様と識別しても後で訂正することが多々あります。写真のように風に乗って滑空している姿など、数kmも離れていると紛らわしいことこの上ないです。そして最後まで同定できない場合などは実に歯がゆくもあり、自身の識別能力の低さを嘆くことになります。我々調査員にとってカラスは役に立つ鳥であり、且つ紛らわしくもあるという何とも悩ましい存在なのです。

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