雪国のブナ林
調査地の核心部である某谷筋を見通すために、新たな定点を探して踏査していたところ、杉の植林地の中に偶然ブナ林を見つけました。一本一本の幹の太さや樹高、それに地勢的に山間の里山であることを考えると、戦後の植林期に一部伐採されたものが、何かの理由でここだけブナが再生してそのまま残されたものと思われます。我が利根の中標高地に広がるブナ林と比較して、天に向かってまっすぐ幹が伸びて、尚かつ樹冠が大きく広がらないのが見て取れます。雪国の多雪地帯で見られるブナは、雪の重みで枝や幹が折れないように、あまり広く枝先が広がらないのが特徴なのです。
新潟の松之山には美人林なるブナ林がありますが、彼の地よりも面積は広く、それこそなかなかに美しいブナ林です。地元で意図的にそうしているのかもしれませんが、周囲からは単なる杉林があるようにしか見えないため、偶然だったとはいえ何だかちょっと得した気分ですね。
ブナ林を囲むように配置された杉林の林床には、ショウジョウバカマが花を咲かせていました。
今日は昼前から午後遅くまで雨模様でしたが、朝の早い段階では何回か陽が射し込む場面もありました。ちょうどそんなタイミングで、早くも夏毛になりつつあるカモシカの成獣が姿を見せました。周辺では農作業に従事する人がちらほら出ていたためか、私を見ても気にすることなく通り過ぎていきましたが、写真を撮るのに口笛を一回吹いて聞かせると、何か用かと言わんばかりに一瞥されてしまいました。
GW中に急遽コリメート用のビデオカメラを新調、今回はそのテストを兼ねて実戦投入を図りました。別のAVCHDフォーマットのビデオカメラをちょっと前に導入済みでしたが、相性の問題なのかどうにも今ひとつ意図する結果を得られなかった..ビデオカメラ単体での性能はまったく問題ない..ので、今回はすでに人柱報告のある機種に落ち着きました。こちらはなかなか評判通りの性能を有しており、ビデオクリップからの静止画の切り出しでここまで表現できれば御の字でしょう。
コメント
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いろいろと理由は考えられるのでしょうが、ちょっと不思議ですね。
様々な要素が絡み合うタイミングが偶然に重なり、たまたまブナが自然再生しただけで、非人為的にも見える反面、モニターのこちら側から想像するには人為的な方向性の方が興味深かったりします。
例えば、なんらかの神聖なる地であったり、姥捨て子捨て、伝染性の病人が隔離された忌避地であったり、はたまた隠し田畑や隠し鉱山があったりして、世間の目から隠然と守られてきた場所とか、山の民が定点的に使っていた場所で、里の人々はそれをおもんぱかって手をつけなかったとか。または戦時中はそれらの規律が一時的に崩れたが、戦後、しきたりを受け継ぐ人々によって再び守られるようになったとか。
いや~、自然科学も民俗学とミックスするとロマンだな~(笑)
でも、マジメな話、BigDipperさんやそのお仲間の方々は、鳥獣を追って分け入った結果、想像だにせぬ場所で、意外にそういうひっそりとした人跡や奇譚を見出してしまうこともあるんじゃないでしょうか。
投稿: joshi | 2010年5月 8日 (土) 04:06
地元の人に聞いたわけではなく、
私の興味本位な憶測に過ぎませんが、
偶然ではなく恐らくは何か理由があると思います。
それだけ件の現場は不思議な感じがしました。
joshiさんの言われるような理由も各地で聞き及んでしますし、
そういう可能性もあるのでしょうね。
> いや~、自然科学も民俗学とミックスするとロマンだな~(笑)
万物何事にもそこに存在する理由があるわけで、
それを探りたぐる旅も面白いですね..
投稿: BigDipper | 2010年5月 8日 (土) 22:01