カテゴリー「猛禽類」の172件の記事

2012年6月17日 (日)

今は昔の話

20120617
誰が呼んだか人呼んで里山の猛禽ことサシバ。オオタカ共々里山環境の上位に位置し、主に昆虫や両生類など小動物を狩って生活していますが、私の感覚だと近年は里山のような平場よりも、多雪地帯の山間地に多く見られるイメージに傾きつつあります。戦後この方、里山環境が急速に減って、そこで営む生きものが順次姿を消しつつありますが、その食物連鎖の頂点に立つ彼らもまた、次第に姿を消していく運命にあります。

あらゆる生きものは、他の生きものの命を取り込んで自らの命の灯を点していくわけですが、サバンナのライオンなどと同様、猛禽類はそれが実に判りやすい生態をしています。サシバという種または個体だけを見るのではなく、彼らの生態を映す生活環境そのものを俯瞰してみない限り、彼らの命の灯火を守っていくことは難しいでしょう。もちろんそれは、サシバだけに限った話ではありませんが..

20120617b
これは出張中の移動オフィス宿住まいバージョン。個室だとそれなりにスムーズに作業を進めることができますが、日中野外で働いてきてその上、さらに宿に戻ってまで仕事はしたくないのが本音だったりしますが(苦笑)、あらゆる業務が平行で進んでいく..予定がダブル、いやトリプルブッキングだっていうのは私の詰めの甘さというのは内緒(汗)..ため致し方なしです。

その昔、かれこれ20年位前でしょうか、サラリーマン時代にいわゆるバブル景気を経験していますが、その末期、PowerBook Duoとデジタルムーバ..月額8万!だったって信じられる?..を小脇に抱え、全国区を出張続きで転戦するという、今の私からはおそらく誰も想像だにし得ない状況下にいました(苦笑)。それこそ当時はインターネットの普及前..ネットと言えば一部のパソコン通信のことを指した..であったため、連絡は当然電話で口頭伝達、書類はFaxでやりとりが普通のビジネスシーンでした。出張で会社に戻らない日などざらで、ホテルから深夜にPowerBookから音響カプラとFaxモデム..電信時にピーガーって音がするやつね(笑)..で、見積書やら提案書の類いを延々とクライアントにFaxで送りつけるなどしてました。

インターネットとブロードバンドの普及、高性能なラップトップにスマホ、それにクラウドサービスといった当時ならまさに夢の世界のまっただ中にいるわけですが、こうしていい歳して夜中まで仕事に縛られている辺り、本来ならやらなくてもいいことまでさせられているようで、昔より便利になったのかどうか時々疑問に思うことがありますなぁ..

2012年5月11日 (金)

蛙を狙うもの

20120511
昨日の雷雨などどこ吹く風で、谷戸の田んぼはすっきりくっきり良い天気。

20120511b
先日のハシブトガラスが拾い食いしていたのは、やはりカエルの幼生だったようです。シュレーゲルアオガエルなども鳴いていましたが、写真はニホンアカガエルの変体中の幼生。まだまだ尾が長いですね。

20120511c
カエルを狙っているのはカラスだけでなく、水田の常連と言えばサギ類(写真はダイサギ)でしょうか。当然夏羽であり、飾り羽も風にヒラヒラなびいていました。

20120511d
こちらは近年奥山にも進出著しいアオサギ。サギはやはり水辺にいてこそのサギ..の筈が、なぜか杉のてっぺんでのんびり。そう、こいつらはこうして結構樹上にも留まったりするんです。

20120511e
猛禽類といっても狙う餌動物は種によって様々。例えば写真のサシバは、春に日本に渡ってくる小型のタカの仲間ですが、里山や森の中でカエルや昆虫など小動物を狙います。


2012年4月25日 (水)

ワシとクマの住む森

20120425
みちのくのブナの森は気持ちいいほど晴れ渡り、汗ばむ陽気に雪解けも進んでいます。

20120425b
ブナの森はクマの森。大木の幹にはあちこちその痕跡が見られます。

20120425e
クマが好物とするミズバショウは、成長すると葉っぱだけやたら大きくなって、世間一般で持たれているイメージを損ねますが、このくらいのサイズがまあ鑑賞にはちょうど良い感じでしょうか。それにしても、北海道やみちのくでは、山地の湿地や林道脇に普通にミズバショウが咲いていたりします。これが我が郷里だと、わざわざミズバショウの自生地..尾瀬や玉原など奥利根エリア..まで行かなければなりませんから、やはりこちらは緯度が高くより寒冷であることを証明..本種は北方系の植物に分類される..していますね。

20120425c
そして今日も陽炎にゆらゆら揺れるクマの姿を。こう連日似たような環境下でクマがうろつく姿を見かけるようだと、冬眠明けのラッシュだったのかと、ついぞ勘ぐりたくなりますね。何れも単独で遠目にも大きいのが判るので、雄であろうことも想像つきます。

20120425d
そしてこちらも陽炎ゆらゆらの天狗様。こうしてワシとクマが生息しているというこの自然度の高さこそ、未来永劫守られるべきみちのくの、いや日本の素晴らしき共有財産。経済性を優先したつまらん観光地化された場所でなく、こうしたエリアこそ日本が世界に誇るべき自然遺産だと断言できますね。いやマジこれ本音です。

2012年4月20日 (金)

沼田桜咲き始め

天狗様の古巣を双眼スコープの視野中央で捉えると、何と予期せぬ白いものが動いているではないですか。ここのペアは今年は途中で放棄したとばかり思っていたので、思わずヤッター!と叫んでしまい、慌ててビデオのRECをレリーズ。距離にして2kmほど離れているので、陽炎の影響でボヤボヤですが、モニターに映し出される白い物体はまさにお雛様のそれ。もう気分はルンルンで一人ニコニコしていたところ、その影にもう一つうごめく白い物体がいるではないですか。おー!これはもしかして2羽ふ化したのか!だとすれば国内の野生下では自身初。

間違いないかと震える手でデジタルズームで拡大、凝視すること3分。確かに複数のお雛様。それも3羽。アレ?3羽?それはいくらなんでもねぇ。おや?そう言えばよく見ればお雛様たちは巣材の上ではなくその隣りの露岩した岩の上にいるような。と、ここでモニターのフレーム内に飛び込んできたのはハヤブサの雌。えーーーー!そ、そういうオチで良いのか、これ..

20120420
ハクビシンはご近所界隈では目下の最重要指名手配犯..今が旬のイチゴ農家の被害は相当なもの..であるため、捕殺駆除されても同情する余地はありませんが、この手の交通事故死は痛ましくもありますなぁ。このご立派な道路はつい最近開通したばかりで、まだ動物たちに認知されていないので、当分はこの手の事故は止みそうにないです。写真には写っていませんが、左手のアカマツ林にはカラスとトビが待機しています。ちなみに私が轢いたわけではないので念のため..

20120420b

20120420c

20120420d

沼田公園の桜はようやく咲き始め。とっくに桜まつりは終わってしまったので、何ともバツの悪い話です(苦笑)。

ところで、午後は桜絡みで突然の撮影依頼。昼飯頬張りながらのんびり天狗様を観察中でしたが、良い企画がまとまった..思いつきとも言う..とかで携帯呼び出し。急な話で他に頼める相手もいないので、観察中断で沼田へ慌てて取って返し。しかし、あいにく手持ちの車載機材は先日のままで、EOS-1D4とEF100-400ISのみ。さすがに130mmじゃあバストアップがせいぜいなので、ジムニー号のガラクタ箱こんなこともあろうかとでお馴染みの真田箱..このフレーズが分かる人は同世代だ!..から、トラップカメラ用パーツの残骸備品よりEF28-90(古っ!)と550EXをサルベージ、コンビニで単三電池ゲットして無事ミッション完了。逆境を乗り越え、依頼された仕事を完遂することこそ真のプロフェッショナルの姿というもの。え、備えが悪いだけだって?ええ、まったくその通りです、ハイ..


2012年4月16日 (月)

2K仲睦まじく

NAB開催中の彼の国では、ネットで探ると早くもNEX-FS700のサンプル?動画がちらほらアップされはじめている。FS700は4Kがウリっぽいところがあるが、目玉は何と言ってもハイスピード撮影(スローモーション)機能に尽きる。何しろPhantomなどウン百万円と超高価な機材を使わないと撮れなかった映像が、100万切る価格帯まで下がってくるのだから、これはもう価格破壊の何ものでもない。業務のことを考えても、企業PVや商品CMなどでは、3Dよりハイスピード撮影のほうが圧倒的に潜在ニーズがあると思われる。

ネイチャー分野での撮影では、あれもこれもとそれはもう様々なシチュエーションで使ってみたいところだが、しっかりとした絵コンテを描いた上で撮影に臨まないと、肝心なノーマル映像を取り逃がすことになりそうだ。個人的には60P、最大でも120P(120fps)で撮れれば御の字である。少なくても安定的に1080/60Pがいければ、編集時でつなぐ際に色々試せそうである。

それにしても、ここに来て急にハイスピードづいている感があるが、これは4K撮影の付録みたいな機能と言えようか。4Kは単純に考えても2K(いわゆるフルハイビジョン)の4倍のデータ量をハンドリングする必要があり、かなり高速な映像処理エンジンが必要となる。最近発表されたV社の低価格4K機が、4枚のSDカードに4K映像を4分割して別々に書き込み、編集前に合成させるというかなりアクロバティックな仕様になっている点でも想像できよう。つまりその高いデータ処理能力があるからこそ、これまた同じように高速な処理を必要とするハイスピード撮影を実現できるわけだ。

昨年は3D元年とか何とか言われて3Dカメラが登場したものの、3Dは専用の器具を使わないと視聴もままならず、メーカーが期待するほどのニーズは掘り起こせていない。その点、ハイスピード撮影は動体撮影の分野で昔からニーズがあったため、安価に実現できるとなればそれなりに普及する可能性が高い。ただ、スチルの世界で言う魚眼撮影やHDR的なキワモノ機能でもあるので、何でもかんでもハイスピードって感じで、しばらくはゲップが出るほどその手の映像が垂れ流されるのは必定か(苦笑)。

20120416
天狗様を遠距離観察中、頭上でピーピー鳴きながら寄り添うように飛ぶK夫婦。雄が背中に乗ったり、雌が反転してお互い足を絡め合ったりと、仲睦まじい姿を見せつけたあと、いつものアカマツ林に林内消失。春ですなぁ..


2012年4月12日 (木)

ニッポンの春

北に南に彷徨いているためか、なかなか良いタイミングで満開のソメイヨシノに出会えませんでしたが、ここに来て何とか追いついたようです。先日の春の嵐で散ってしまったかと心配しましたが、まだ道中何ヶ所かは愛でることが出来ました。ソメイヨシノは造花なので嫌いだとか宣う人もいますが、やっぱりニッポンの春は満開のソメイヨシノで決まりでしょう。

20120412

20120412b

20120412c
ピィーヨ、ピィーヨと鳴きながら、愛のディスプレイをするノンちゃんカップル。ツミに追い回され、オオタカにはド突かれ、それでも愛を育みます。春ですね。


2012年3月29日 (木)

白銀の天狗日和

20120329
昨日までの荒天からようやく解放され、待ってましたの快晴無風の天狗日和。深い雪に閉ざされた林道を、えっちらおっちら歩いてやって来ました峠ポイント。道端に設営した定点から眺めるみちのくの奥山は遠くどこまでも澄み、ゴジュウカラの春の歌をBGMに、天狗様の華麗なる舞を堪能。

20120329b
まだまだ一面の銀世界なれど、ヤナギの芽は春を迎える準備も万端。そう言えば今日はサシバも今シーズン初認。

20120329c
自然の造形美とも言うべき、みちのくのなだらかな山襞を、定期的に一つ一つしらみ潰しに舐めて、何か飛行物体はいないかをチェック。

20120329d
遠いも遠い、はるか8km離れた、それはそれは天上人の銀世界。白銀の斜面にぽつんと浮かぶは天狗様。双眼スコープの光軸テストのような視界なれど、極上で上質な無声映画でも観るかのようなシチュエーションに、仕事も忘れて思わずうっとり。良いですねぇ、こういう眺めは何時間でも飽きることがありません。

2012年3月22日 (木)

白さ際立つ

20120322
いかにも野武士的で地味な天狗様と違って、鷹..あえて漢字表記..の仲間は美しく気品のある体色をしている種が多く見られます。クマタカやオオタカなどに見られる鷹斑と称される縞模様など、どこか高貴な気品さを感じさせます。

20120322b
ただ、野外ではその白さは異質に目立つことが多く、こうして林縁部に留まっていると一目瞭然、遠くからもすぐに気付きます。写真のケースはディスプレイの一環での留まりですが、待ち伏せや探餌でも割りと目立つ場所に長時間留まっていることがあるので、目立たせることで逆にわざと対象にプレッシャーを掛けるという作戦なのかもしれません。ただ、キジがあのトリコロール配色でベッタリと周囲に溶けこむのと同様、オオタカが枝の込み入った藪中に潜んでいると、陽の当たり方によっては結構探すのは大変..縞模様というのは状況によってステルス性を発揮する..だったりしますから、適選使い分けているのだと思われます。

余談ですが、鷹匠が実戦から転じて趣味性の高いものへと変化した後、狩人としての本能もさることながら、術としての美しさにこだわった流れにあるのは、鷹狩に使われたのがオオタカやハヤブサであったことで、それなりに合点がいきます。種として扱い易かったというのがあったにしても、文化として永らく発展していくには、生きものとして無駄のない美しさを伴わさせることが、術としての体系に欠かせないものだということなのでしょう。まさに獲って良し、見て良しですね。


2012年2月27日 (月)

見慣れないグレーなやつ

朝、出掛けようと玄関を開けると、50mほど先の目線の高さを、見慣れない大型の鳥が飛んでいくのが目に入りました。我が目を疑いましたが、雪面の上でも異様に目立つ明るいグレー系のその配色は、大陸型のハイイロ○ュウヒのまさにそれ。慌てて車に積んであるカメラを取りに走りましたが、すでにハイチュウは防風林の向こうへと消失後。2階の仕事場にいれば証拠写真ぐらいは撮れたのに、ちょっと残念..

という話を帰ってから家人にしたところ、何と半月くらい前に家の前で見たというから更に驚き。どうやら気が付かないうちに近場にしばらく居着いていた..いる?..ようです。以前、渡りの時期にチュウヒを見たことはあり、特に農閑期の今、家の周辺は雪原化して原野のようになっているので、あの手の連中が越冬していても不思議はないです。いやぁ、うかうかと家に隠っている場合じゃないですね。

20120227
急遽ピンチヒッターで雪国現場へ参上。少々安請け合いをしてしまって、こちらの代打の皆様..いやぁT君スマン(汗)..にご面倒をお掛けしていますが、この穴埋めは何れまた..

20120227b
相変わらずすごい雪です。定点脇で農道を開けようと除雪が始まりましたが、車輌より高い積雪にローダーやショベルカーでは手に負えず、ロータリ車がやって来て一気呵成にやっつけ始めました。やっぱり専用の特機車両の威力は絶大ですね。


2012年2月 1日 (水)

止まり木

20120201
久しぶりに近所の演習林へ。数年前に隣接する杉林の一部が伐採され、谷沿いの緩斜面の見通しが良くなったせいか、ご近所ラプターたちのたまり場になっています。日中は林縁部のアカマツにノスリやオオタカが留まっていることがありますが、夕方から早朝の時間帯はフクロウも利用している形跡が認められます。写真の古い切り株はその1つなんですが、積もった雪の状態から最近は利用していないことが判りますね。本当はトラップカメラを仕掛けたいのですが、相変わらず機材が出払っているので、今のところちょっと試せていません。

より以前の記事一覧