カテゴリー「野生鳥獣問題」の41件の記事

2009年12月 9日 (水)

1本1本丁寧に

20091209
我が県の東部は栃木県と県境を接しており、さらに赤城山より以北は日光や足尾と山塊がつながっているため、野生動物の往来は日常のこととなっています。とりわけシカの行き来は季節を問わずあるようで、このブログでも時折報告しているとおり、一帯の山村における農作物や林業被害は目に余るものがあります。今日もとある目的のために林道の支線を走り継ぎながら伐採地を見て回りましたが、どこもその対策には苦心しているようです。写真はヒノキの植林地ですが、ヒノキは最低でも50年経たないと高い商品価値を生み出さないので、1本1本丁寧にネットで包んでいるのが判ります。林業家もそれだけ必死なわけですね。

20091209b
県内の林道はそのほとんどを走ったことがありますが、何年か入らないでいると終点が延びていたり、支線が増えていたりします。特に新しい支線を見つけると、ついつい終点もしくは行けるところまで行ってみたりするのですが、今日は燃料が少ないことに気付いていたにもかかわらず、あと少しあと少しと距離を稼いでしまい、危うくガス欠になるところでした。うっかりガス欠になっていれば、10数キロを歩いて出てこなければならず、ちょっと面倒なことになるところでした(苦笑)。

| | コメント (0)

2009年11月16日 (月)

猟期始まる

今年も狩猟の季節が始まりました。基本的に猟期は11月15日から翌年の2月15日となっていますが、各県ごとに事情が異なる部分があるので、狩猟対象によっては一部地域において延長されています。昨年までと同様、今年も県北東部のシカ猟については2月28日まで延長となっていますが、今年から県南西部も対象となったようです。

猟期が始まってしばらくは鉄砲撃ちもやる気満々なので、フィールドに分け入る場合は十分注意が必要です。登山道などを歩くのと違い、私は低山のチョイ奥や奥山の中腹辺りをうろつくことが多いので、特に危ない(苦笑)。本来は撃つ側が最大の注意を払うべきですが、誤って撃たれてからでは遅いので、こちらもそれなりに神経を使わなければなりません。普段はクマ除け鈴を好まない私も、さすがに猟期の初期だけは例外ですね。

20091116
農道上に付いたばかりの蹄の跡。このちょっと前に犬に吠えられながら逃げていくシカの姿を見かけたので、おそらくその際に付いたものでしょう。

20091116b
私の住む地区は村内でもシカが多いところなので、解禁後は朝早くから鉄砲撃ちが姿を見せています。

人が他の生きものを狩って生活していた事実、それは縄文期など狩猟採集時代まで遡らずとも、割と近代まで続いていました。東北に見られたマタギという狩猟集団が有名ですが、何の産業もない山深い里では、先の大戦前後まで狩猟と採集で生計を立てていた人たちが普通にいたのです。言わずもがな獲った獲物の肉は食料に、剥いだ毛皮は軍事用や交易の商品として扱われていました。現代においては、狩猟はほぼ高齢者の趣味の分野に生き残っていますが、有害駆除という野生鳥獣問題の解決手段の一つにもその技術が活かされています。

狩猟は一方的に生きものの命を奪う行為であるため、自然保護や動物愛護を叫ぶ人たちとは相容れませんが、私は周りから思われているほど自然保護論者ではないので、人の生産活動によって増えすぎた生きものが、同じく人の生活に害なす場合に限り、それを人の手で調整する考え方、つまり野生動物の頭数管理は止むなしと考えています。調整や管理などとはなはだ不遜な言い回しになっていますが、自然界でまかないきれない数にまで増えた野生動物との軋轢は、今や単純な保護一辺倒では追いつかない現実があるからです。もちろん、ちょっと村はずれに姿を見せただけのクマを有害駆除するなどは論外ですが、シカやイノシシ、それにサルによる農作物への被害には看過できないものがあるのです。身から出た錆という意見もありますが、現実はやはり直視する必要があるでしょう。

その狩猟を担う鉄砲撃ちには、時々張り倒したくなるような自分勝手な輩も見かけますが、私の知り合いの範囲では、しっかりとした自然観に基づき野生を敬い、生きものの命を尊ぶ価値観..生きものの命を分けてもらうという考え方..を持つ人もいるので、その辺りは安心しています。しかし、前述したとおり高齢化が進んでいるため、これからさらにその必要性が高まるであろう有害駆除を担う人材は、年々減りつつあるのも事実です。冗談抜きで、シカやイノシシがその数を減らすよりも、案外鉄砲撃ちが絶滅するほうが先かも知れませんね。

| | コメント (0)

2009年11月 9日 (月)

忍び寄る外来種の影

20091109
先週末は、私の所属する研究会の役員会に出席するために、某所に出張していました。翌日はさらに某所での嘆かわしい状況を視察。メディアの軽率且つ安易な情報発信が、いかに危機的な状況を生んでしまうのかという事実を目の当たりにして、何とも先行きの暗い状況に、憂鬱な気持ちを引きずって帰ってきました。

さて、憂鬱な話などしてもつまらんので、今日の記事は先週の寒波到来その前日に遡ります。いつものように朝の散歩を兼ねて、トラップカメラの点検に近所の森に分け入ると、聞き慣れない鳥の声が聞こえてきました。最初はこんな時期にクロツグミが?と思ったものの、一瞬だけ藪の中にチラッと見えたその姿は、紛れもなくガビチョウのそれ。同じく赤城山の南面に、カオジロガビチョウが居着いているのは知られたところですが、北面側でその同属が確認されるのは珍しいことです。

寒さに弱いとされるガビチョウが、折しも初雪の前日に、標高700mの赤城高原に姿を見せたことは気になるところです。果たしてこのまま居着くのか、たまたま通りがかっただけなのか。外来種が在来種に対し様々な影響を与え、その脅威となっている例は数知れません。あれからその特徴的な大きな声を聞いていませんが、今しばらくはガビチョウの動向を注意して見守りたいと思います。と、やっぱり憂鬱な話題になってしまった(苦笑)。


サウンドレコーダーを持っていなかったので、映像を適当に撮った7Dの動画から、音声の一部を切り出してMP3に変換してみました。7Dは5DMk2と同様にステレオマイクを内蔵しており、外部マイクが無くてもとりあえず音は拾えます。それに後発だけあって、5DMk2よりもメカノイズは少なく、サンプリングレートも48KHz..5DMk2は44.1KHz..と高くなっています。
MP3 128kbps/48KHz

| | コメント (0)

2009年10月17日 (土)

逃げサル

先月に引き続き、友人たちと隣村のサル調査。ここ何回かの追跡で、谷奥と下流の集落近くに別々のグループがいることが判明。それそれが40~50匹程度の群れで行動しているようです。標高の低い集落近くのグループを道路脇から観察しましたが、ある程度の距離を保っている限り、あまりこちらを意識しないようです。と言うかできるだけ無視しているように見えますね。そこでこちらも目を合わせないよう、じりじりと近づいて写真を撮ろうとすると、途端にバタバタと逃げ出し始めました。1匹が逃げると我も我もと一斉に動き出すので、辺りは騒然とした雰囲気になります。

20091017

20091017b

20091017c

20091017d
サル被害の証拠品..ではありません。土地柄、この季節はあちこちからただリンゴが届きますが、これは台風のもう一つの置き土産。近所のF農園からもらったはね出しリンゴで、ぐんま名月という知る人ぞ知る我が郷里の銘品。地元でもなかなか手に入れることは難しい産直品ですが、この前の台風でだいぶ落果してしまったようで、農家にとっては痛手となっています。ま、Fさんには申し訳ないですが、こんな時は役得と言うことで、有り難くいただくことにしています。名月は11月上旬が本来の出荷時期になりますが、個人的にはやや酸味が強い今ぐらいの糖度でも十分美味しくいけますし、何よりタダですからね(笑)。ちなみに名月が赤くない理由はこちら

| | コメント (2)

2009年9月27日 (日)

サルごっこ

知人に頼まれて、隣村の某所に出没するサルの様子を見てきました。

20090927

シカやイノシシ、それにクマなど大型の野生動物による農業作物への食害は深刻です。連休中に見て回った西日本の山間地でも、シカの食害や痕跡を多数目にすることになりました。我が村での状況は、時々ブログで紹介するような通りで、山際の耕作地ではアニマルキラーなどの電柵が定着しつつあります。

先に挙げたような獣たちの場合、柵のような割と単調な防御でもそこそこ成果がありますが、サルに関してはほとんど効き目がありません。こっちがダメならあっち、あれがダメならこれをといった具合に、何かしら対策を施してもイタチごっこならぬサルごっこ状態になるのがおちです。一番効果が高いのは、実際に現場で人の手で追い払うことですが、それとて少人数では見回りにも限界があり、それはそれで今度はモグラたたき状態ですしね。

隣の長野県や山梨県では、特別に調教されたモンキードッグなる犬による追い払いで、一応の成果を上げているようですが、まだまだ一般に普及するには時間が掛かります。そもそも犬猿の仲などと揶揄されるとおり、サルはしつこくうるさいイヌを嫌います。その昔、山と里の狭間に人の息吹があった頃ならば、庭先に放し飼いにされていた飼い犬がその役目を担っていたわけで、山村の過疎化によってそれももう昔話の範疇となっています。

| | コメント (5)

2009年8月13日 (木)

20090813a
先月末、今年も近所の森の数カ所に、鳥獣捕獲用の罠が仕掛けられました。捕獲対象はイノシシかシカとなっており、今夏の農地への出没頻度からみてもまあ仕方ない状況でしょう。

20090813b
野生動物の捕獲、とりわけクマやサルのように餌による誘引がしやすい場合は、ドラム缶箱罠が使われますが、イノシシやシカの場合はいわゆるくくり罠というタイプ..今回使われているのはサカエ式というもの..が使われる事が多いです。動物が罠を踏むことでバネによる仕掛けが作動、ワイヤーで脚を絡めて動きを封じ込めるという仕組みです。掛かった動物はかなり暴れるので、状況によっては少々むごいことになる場合もありますが、箱罠のように設置場所を選ばないのと、何よりコストが安く済むのが特徴です。まあ、むごいとは言ってもそもそも捕殺が目的ですからね。

余談ですが、一般的な狩猟を含む銃器による駆除には乙種の狩猟免許が必要で、罠を仕掛けとして使う場合は甲種の同免許が必要です。一般人が普通はそのような免許を持つことはないので、当然この手の作業は猟友会で請け負うことが多いです。

20090813c
さて、人の目からすると一見巧妙に仕掛けてあるように思いますが、神経質で臆病なイノシシを騙すのはそれなりに大変だと言われており、実際にこの罠を仕掛けてからピタリとヤツらの出没が止みました。もちろん、抑止力としての効果があるならそれはそれ、無用な殺生をせずに済むのならしばらくはこのままでも良いのでしょうね。

20090813d
罠の仕掛けられた林縁部より、目線を下げて覗いてみると、森の奥へと誘うようにけもの道が続いていました。

| | コメント (0)

2009年7月 4日 (土)

中途半端な柵

20090704
「ギャワワワーン!」的な表記が適当な悲鳴?とともに、いきなりララァが飛び跳ねて後退りました。アニマルキラー..写真の電気柵の商品名..の下に張ってあるマルチにたまった雨水を飲もうと首を突っ込んだ際、下の電線に触れてしまったようです。以前に近くの畑の電気柵に触れた際には無反応だった.私も触ったが静電気程度のショックだった..ことがあるのですが、この演習林の電気柵にはかなり強い電流が流れているようです。どこに本体があるのか確認してませんが、最大電圧で出力している可能性がありますね。

最近、電気柵を個々の畑毎に敷設するのでなく、シカたちが昼間ねぐらにしている演習林を囲う作戦に切り替えました。それによって全体のコストを削減する方向で動いているようですが、演習林のぐるりをすべて囲っているわけではないので、シカたちも柵沿いに移動してきて終端から抜け出ているようです。柵を設置するのに削った法面に、シカの足跡が付いているのが判りますが、考え方によっては柵が誘導路の役割を果たしてしまっているとも言えますね。

20090704b
先の電気柵の終端の、道を挟んだ反対側にあるシカ道。そのまま道を辿って演習林を抜けると、電気柵に囲われていないキャベツ畑に出ます。作物は年によって違いますが、コンニャクでも作ってない限り、林縁部に近い畝では少なからず被害は出ているようです。近所の農家では、穴の空いたバケツで水を汲む例えをしていますが、対策が中途半端だと期待した結果にはなかなかつながらないようです。

| | コメント (2)

2009年5月13日 (水)

フェンスでガード

20090513
良いですねぇ、畑のブルーベリーが満開です。今年は昨年以上の収穫を期待できそうですね。

20090513b
キビタキのピッコロピッコロが心地よく響く、北部山域の標高1500m付近に広がるカラマツ林をゆく。周辺の広葉樹をよそに、一足早く一斉に芽吹きが始まっています。

20090513c
いや今日は寒かった。日射しはあって日なたではまあまあだったのですが、うっかりシャツ1枚で出掛けてきたため、県境を吹き抜けてくる寒風に終始ブルブル。定点3時間が限界でした。

20090513d
最近の民有林ではこの手のフェンスが増えています。林道には大抵ゲートが設置してありますが、この時期は地元の利用者に配慮..主には山菜採りですね..して開け放ってあることがほとんどであり、尚かつ一般的なバー形式のゲートでは野生動物には無力なので、民地のみぐるりをフェンスで囲んで、野生鳥獣被害を最小限にとどめようとしているようです。高さは2m以上あるのでシカやカモシカには有効ですが、この辺りで最近増えているサルにはあまり意味はないでしょうね。

GR DIGITAL
COOLPIX P6000

| | コメント (2)

2009年4月21日 (火)

画眉鳥

先日県南の某所で初めてガビチョウを見ました。その賑やかさを通り越して騒々しいとまで形容される大きな声は、過去に何度か聞いたことはありましたが、姿そのものを目視したのは今回が初めてです。

20090421
仕事で県南某所にある寺院の有名なしだれ桜を撮っていたところ、境内の裏からその特徴的な大きなさえずりが聞こえてきました。最初はクロツグミかと思ったほどその節回しはよく似ていて..他の鳥の鳴き真似もするようです..いましたが、悪く言えば騒々しいというか品がないというか。しばらく声の主を捜していたところ、意気揚々と姿を見せて再びさえずり始めましたが、すぐにヒヨドリに追われて裏の竹林へと逃げ込んでいきました。

EOS5D Mk2(EF70-200/2.8L IS)

中国を原産とするガビチョウは、もともとは飼鳥として国内に持ち込まれ、その後は他の移入動物と同様の理由で国内に定着、現在は特定外来生物に指定されています。少し調べたところ、日本生態学会の定義する日本の侵略的外来種ワースト100に、ドバトやソウシチョウと並んで列挙されていますね。現時点で何か被害や影響があるのか不明ですが、林内における地上採餌性という点では、ツグミ類などと餌が競合すると考えられ、同一環境下においては往々にして移入動物のほうが強いことが多く、在来種を駆逐する可能性が高いと思われます。生態系を乱すという意味では、外来種の場合は影響が出てからでは手遅れになるケースがほとんどなので、早い段階からの注意喚起は必要でしょう。

ちなみに私の住む県北ではまだ定着確認はされていません。もともとの生息地..中国南部からインドシナ半島にかけてに生息..と、地上採餌性であるという点から、おそらく積雪が多い地方ではまだ定着は難しいのでしょう。全国的に見ても、今のところ分布は東北以南に止まっているようです。

| | コメント (2)

2009年4月17日 (金)

サル隠れ

20090417
里の空き家周辺でサルの一群に遭遇。車から降りると蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げていきますが、中には遠くまでは行かずに近くに身を隠す輩もいます。写真の中に2頭ほど隠れているのが判りますかね。

20090417b
だるまさんが転んだ状態で少しずつ移動してまず1頭見っけ。このようにあまり遠くまで逃げない個体は、そこそこ人慣れしている証で、この季節は人が何も危害を加えないことを知っているようです。よく話題になる日光のサルのように、人手から餌をもらうまでには至りませんが、人を恐れないというのは、そのまま作物などの食害問題に直結するので好ましくありませんね。と言いつつ、もう少し近づこうと足を踏み出した途端、歯をむき出して威嚇しながら逃げていきましたが。

写真の空き家は山から下りてきてすぐ里に近い谷地の中にあり、その昔なら日常的に人の息吹が漂い、当然のごとく飼い犬なども放し飼いされ、里と奥山との緩衝帯のような役割を果たしていたはずです。言い換えるなら、人里と野生の狭間にある結界のようなものです。それが過疎化が進むにつれ結界としての効力も薄れ、野生の里への侵入を許す原因の一つになったと言われています。何も便利な生活を捨てて山に住めなどという話ではありませんが、里山に暮らしてきた昔ながらの日本人のライフスタイルも時代とともに移り変わり、それまで微妙に保たれていた野生との距離に明らかな変化が起きていることを伺わせます。ま、今に始まった話ではないですがね..

EOS-1D Mk3(EF100-400/4.5-5.6L IS)

| | コメント (0)